<お遍路宿紹介>通夜堂:堂山大師通夜堂
ご注意
本記事は当時の経験として残している記録であり、現在の営業を保証するものではありません。ご利用をお考えの場合は、施設に営業状況をご確認ください。
お遍路宿の紹介です。43番札所明石寺と44番札所大寶寺の間に位置する堂山大師通夜堂。堂山大師堂とも呼ばれています。愛媛県の内子町小田という地区にあります。
2016/12/29宿泊
愛媛県の中で札所と札所の間が一番長い区間のため、内子周辺にはお遍路さんに向けた宿が多く点在します。ですが、せっかくなのでお遍路っぽいことをしたいと思いまして、通夜堂を利用させていただくことにしました。
まずは『小番食堂』へ
それには『小番食堂』という近くの飲食店で、通夜堂の鍵を借りなければなりません。ちなみに通夜堂にはトイレ(くみ取り)はあるが、風呂はないとのこと。銭湯の類もこの辺りにはないようです。
なぜこちらで鍵の管理をされているのかを女将さんに聞いたところ、次のようなお話を聞かせていただきました。
「管理という程のことをしてるとは言えないんですが(笑)。元々は近所のおばあちゃんが通夜堂を管理していたんだけど、その方が亡くなったので別の男性へ引き継いだんです。その方も亡くなってしまったんだけど、亡くなる前に私たちが引き継いで今に至ります。」
つまり地域で引き継いでいる文化施設というわけだ。
このあたりは夜になると(コンビニ含め)食事処がないとのことなので、小番食堂で夕食をとっておくことにしました。いただいたのは小田地区の名物でもあるという『たらいうどん』。
あつあつの釜揚げうどんはコシこそないですが、適度なぬめりが楽しめるものでした。あと気になるのが、富永一朗が書いたみたいな箸袋の絵、これはお客さんが書いたのを使わせてもらってるらしい。
鍵をゲットしたら堂山大師堂へ
さて、本題。教えてもらった通夜堂の場所へ向かいます。
「手すりに看板がかかっている所から入ればいい」と言われたのですけど、すごく迷いました。民家の脇を通るようになっています。
堂山大師通夜堂に到着。
「この施設はお遍路さん専用となっております。遍路さん以外の宿泊はお断りします。宿泊される方は、役場前の細川(小番食堂)で鍵を借り出発の際お返しください。」
受け取っていた鍵で戸を開けると、すぐ正面にお大師さんの像が鎮座。どうやら奥にも部屋があるぞ。結構広い。
何かの折には地元の方が泊まり込んだりするのでしょうか。お遍路さん自体も最近は少なくなって、ほとんどここに泊まらなくなったと女将さんが言っていました。僕の前の宿泊者は2週間前が最後のようです。
木戸に貼られている紙が所々穴が開いています。雨はしのげますが、すき間風がバンバン入ってきます。冬は堪えるが、それも醍醐味。あと、夏も暑くなると思う。
奥の部屋には布団が置かれています。風もここまで吹き込んでは来ないので、寝泊まりはこちらでするのがいいだろう。結構広いのでなんだか怖い。
室内のコンセントはほとんど死んでいましたが、電灯が接続されていた延長コードのコンセントには空きがあったので、こちらを使うことにしました。
テレビはつかないので2秒であきらめた。
台所からかろうじて水が出たので、朝に顔を洗うことができます。
ヒーターが作動したのが本当に助かりました。
宿泊代というのはありません。ですが、管理には電気代やトイレのくみ取り代もかかるので、利用の際は「心遣い」をするのがいいだろう。
生活感のあるものがいろいろ置かれています。このうちわなんて、一体いつから存在しているんだ。
テレビを見ることができないので、もてあましてしまいます。怖さを紛らわすように、早々に寝袋にくるまりました。
施錠をして鍵を返しに行こう
まさか真ん前にお墓があったとはね。気付いたのが朝で良かった。
通夜堂の前から撮影。
通夜堂正面。
鍵をかけて出発。
このように、通夜堂は道路から奥まった場所にあります。
早朝出発なので、まだ食堂の営業前。昨日指定されていた場所に鍵を返却しました。なお、通夜堂を借りる時は手続きが必要なので、食堂の営業時間内(9:00~20:00)に訪れるといいでしょう。