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はじめての四国八十八ヶ所霊場めぐり ~ “修行の道場” 高知編 5日目
高知県5日目 | 2016年9月22日 |
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打ち戻りの宇佐大橋(清瀧寺→青龍寺)
雪蹊寺近くの『ホテルSP‐haruno‐』にて、5日目の朝を迎えました。徳島の発願から12日目です。今日はこのあと雪蹊寺に行き、種間寺、清瀧寺、青龍寺と続けて打ち、最終的に岩本寺の宿坊への到着を予定しております。距離は80~90kmほどあるのですが、自転車で走るにはちょっと短いかもしれません。しかし、高知のお寺が軒並み高い場所にあることや、参拝にかかる時間のことを考えれば、設定距離としては妥当なのです。
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まぁ、急いで距離を稼いでも、参拝の時間を削ってしまうようならお遍路に来ている意味はないのですから。
ホテルを出た時、少し雨がぱらついてきました。5kmほど自転車を飛ばし、雪蹊寺へと移動。
三十三番 雪蹊寺! pic.twitter.com/Kbr2yCYCjy
— ちょうちょう (@icedivider) 2016年9月21日
雪蹊寺の境内の中央に東屋がありまして、そこに荷物を置いて納経帳などを取り出します。すると、1人のおばちゃんが話しかけてきました。おばちゃんは車遍路とのこと。聞けば、夫婦二人で回っていた88か寺に、旦那さんを亡くした今再び訪れていると教えてくれました。
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菩提を弔うということに、個人的に共感しお話をさせていただきました。僕が自転車で来ていることも見ていたようで、いろいろ労ってくれました。
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この写真の左にいるのがおばちゃんです。↑
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ちなみに、雪蹊寺の向かいには『高知屋』という宿があり、お遍路さんには割と名が知られているようです。
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立地が良すぎるので、僕も昨日の最終目的地にしたかったのですが、電話で尋ねたところ満室のようでした。
第34番札所 種間寺
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おばちゃんと別れ、そぼ降る雨の中ペダルを漕ぎます。途中の高架下で、本格的に雨具に着替える歩き遍路の人を見かけました。天気予報も昼過ぎまでは雨。
こんな日は僕もカメラを構えたくない。カメラが濡れないように気を遣うのがめんどくさいからです。でも、ありのままを残すにはどんな時でも撮り続けた方が良いし、めんどくささを感じるならなおさら必要な枷なのかもしれない。
案内板よると、歩きと車の道順が違うようです。長さに1kmほど差がありますが、ここは車ルートを選択。山道になってて引き返すことが一番ロスですし、自転車の1kmなんて微々たるものですからね。
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正確には歩き遍路のための道だけを遍路道と呼ぶらしいので、僕が行く道は邪道といったところでしょうか。
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平坦な道を走ること30分、種間寺に着きました。雪蹊寺で会ったおばちゃんと再会。「えっ、早いね!!」と、しきりに驚いていました。
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寺と寺の距離が短いほど、自転車は機動力を発揮します。でも次の清瀧寺は山道の先にあるようなので、おばちゃんに会うのはここで最後でしょう…。
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奥へ進むとやっと本堂が見えてきます。種間寺は建物の配置がちょっと変わってる。
三十四番 種間寺! pic.twitter.com/8CyLHjTbDR
— ちょうちょう (@icedivider) 2016年9月21日
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あっ、岩本寺の宿坊に宿泊予約しておかねば。
種間寺の名前の由来は、弘法大師が唐から持ち帰った五穀の種子を境内に蒔いたことからきているらしい。小野商店の貼り紙は、その名残を残すものなのでしょうか。
第35番札所 清瀧寺
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車遍路は右を指し示しているけど、歩き遍路にはまっすぐの表示。オフロードになりそうな雰囲気じゃなかったので歩き遍路用の方向へ。僕だってなるべく歩き遍路道を通って、風情を感じたいと思ってはいるのです。
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たこ焼き屋を今日も見つけてしまいました。営業しているかは不明。国道56号線に合流して仁淀川大橋を渡ります。
“仁淀ブルー”と呼ばれる神秘的な青さで有名な仁淀川ですが、この雨では確認のしようがありませんね。
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ここで、岩本寺の宿坊へ電話。宿泊者が少ないからかもしれませんが、本日は夕食朝食は付かないとのことでした。「お風呂・洗濯は大丈夫だけど、考えてからお電話いただければ」と電話口の女性は言っていましたが、素泊まりでいいのでその場で予約を入れていただきました。
続けざまに明日の宿を予約。38番札所の金剛福寺の宿坊です。こちらは「空いてますので御安心を」的な内容で、少し安堵。まぁ、僕としてはにぎやかなほうが好きではありますが。
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マクドナルドやコンビニで雨宿りをしながら進みます。雨停滞もまた、お遍路にはつきもの。
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本日の目的地はすでに設定されていますので、小降りの時に歩を進めておかなければなりません。
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幸いにも、この雨雲の一団をやり過ごせば、今後数日間の晴れが予報されています。つまり、残りの土佐遍路期間の晴れは約束されているわけです。
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僕の自転車の脇を車がどんどん抜けていきますが、やはり道の譲り合いで渋滞は不可避。
ひいこら言いながら登っていると、横付けされた車のウインドウが開き、運転手から新興宗教のパンフレットを渡されました。どんなタイミングで勧誘しとんねん。「いっちょ改宗すっか!」となると思ったのか。
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また別の車とすれ違った時、クラクションを鳴らされました。今度は何だと思っていると、種間寺で再開したおばちゃんが運転席で手を振っていました。一期一会。
三十五番 清瀧寺! pic.twitter.com/Vye8dWMBZg
— ちょうちょう (@icedivider) 2016年9月22日
高さ15mの厄除け薬師如来像が目を引きます。
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参拝後、おそるおそる薬師如来像の台座の中に入ってみました。暗いらせん階段を上下しながら進むと、狭い祭壇スペースにたどり着きました。
この『88段の戒壇巡り』で、厄除けのご利益があるらしいです。
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さて、お腹が空いてきました。青龍寺へ向かいつつ、休憩ポイントを探しましょう。
第36番札所 青龍寺
清瀧寺から同じ道で降りてきたころ、ようやく雨上がりの兆しが見えてきました。
トンネルを抜けて海沿いに出ると、ちょうど晴れ間も見えてきました。武家屋敷的なファミマがあったので、ここで昼休憩をとることにしました。
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土佐のファミマは地元色を出してくるのかと思ったら、『レストラン鰹丸』というかつて存在した飲食店の居抜きのようでした。
雨が完全に止んだようなので出発です。
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高知県道23号線から47号線へ逸れて、青龍寺のある横浪半島へ。横浪黒潮ライン、またの名を 横浪スカイラインと言うらしい。
浦ノ内湾に架かるこの『宇佐の大橋』を渡るのが大方のお遍路コースと思われます。だけど、もっと古来のやり方に近い遍路をする人は、須崎市営の巡航船で渡るのだとか。そんなん旅情やば。
釣果を聞きながら釣り人を海に突き落とす事件が、ここのところ発生しているらしい。
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元横綱・朝青龍も通った、かの有名な明徳義塾高校の手前で右折し、蟹ヶ池という池のほとりを進みます。
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三十六番 青龍寺! pic.twitter.com/N1G2qtvej6
— ちょうちょう (@icedivider) 2016年9月22日
清瀧寺から、さんずい【氵】を取ったら青龍寺になることを発見。
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高知のお寺はほぼ高地…なんて言ってますけどもね。お年寄りは苦労しそうです。納経所を横目に上ります。
上るほどありがたみが増す…なんて言ってますけどもね。
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ちなみに朝青龍の四股名は、高校在学時にお世話になった青龍寺に由来するらしいですよ。まさにこの階段を昇り降りして足腰を鍛えたとか。
第37番札所 岩本寺
さて、本日残すは岩本寺のみとなりました。その距離55km。
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横浪スカイラインを突き進むという手もありますが、県道23号線まで打ち戻るルートが一般的のよう。
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というわけで、再び宇佐大橋へ。
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ここで、のどかな自転車遍路の様子を動画で収めてみました。
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休憩中に歩きのお遍路さんと会話する機会がありました。もう少し歩いて須崎市内の民宿で泊まるとのこと。
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もうそんな時間かと、時計を見るともう15時。着くのが遅くなりそうと岩本寺の宿坊には伝えていますが、それがいつごろになるやら。
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工場が見えてきました。
『R-TYPE』の敵でこんなのいますよね。今年の11月にお隣の愛媛県にて『第7回ゆるキャラグランプリ』が開催されるとのことで、須崎市は『しんじょう君』を推していました。(※のちにグランプリを獲得)
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貯木場に迷い込んで右往左往。「もう一度同じ道を行ってみて」と言われたら困るほど迷走した挙句、たこ焼き屋の前に出たのでたこ焼きを購入しました。
8個300円。中トロトロで非常においしかった。
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岩本寺まであと30km。
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ここいらでお腹に何か入れておきたい。道の駅をなんとなくスルーしたあと、看板に惹かれて立ち寄った弁当屋さん(?)がすこぶる良かった。
『玉子焼入 おむすび』(350円)と『くれ天』(80円位)を店前でぱく付きます。玉子焼が甘ささっぱりで体に優しい味。道の駅に行ったら、ぜひこちらも寄ってみてください。
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いりこみそはこっちではメジャーなのかな?とにかく元気は出ました。
ドライブインはもちろんやっていません。ドライブインってやってないものですから。
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トンネルを抜けて出くわしたのが、七子峠まで5kmあることを知らせる看板。緩い坂とはいえ、ここにきて5kmの登りはきつい。
よくまぁこの山の中に道を通したなと先人を賞賛したいくらいの場所です。
もうすぐ18時なので、そろそろ陽が落ちそうです。
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七子峠に着いたら、ハイスピードで下ろう。
峠の先は嘘のように栄えていました。
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中土佐町から四万十町と、自治体が変わればこうも町並みが変わるとは。
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今日は宿坊に素泊まりなので食事なしです。ですが、途中のコンビニや道の駅に寄る気力さえないほど疲れました。
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たぶん布団に入ればすぐ眠れる!なので宿坊直行!
岩本寺が近づくにつれ、控えめながら、非常に魅力的な門前町が現れてきました。
岩本寺の山門前で写真を撮っていると、近所の女性が話しかけてきました。「ヒマだから話しかけに来た」と言うのですが、どう見ても目が座っていたので、ヤバいと思い岩本寺に避難しました。
三十七番 岩本寺! pic.twitter.com/5m8tu9AkmK
— ちょうちょう (@icedivider) 2016年9月22日
(あとで思い出してツイートしたので、実際の時間とズレています)
到着したのは18:30。宿坊受付のおばちゃん達が「今日は迷う人が多いわ」と話していました。すると今度は浴衣姿の酔いどれじーさんが登場。まるで宿泊者がチェックインするたびに、毎回様子をみにくるかのような暇人感をかもし出していました。遅れて女性がチェックイン。じーさんとは隣同士。
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鍵はないので貴重品は持ってかないとダメという。
カップヌードルとおはぎが置かれていたので、まさかと思い聞いてみたら、「お接待です」とのこと。やったね!これは食事付きみたいなものです。ありがたくいただきました。ちなみに、僕が利用した素泊まりプランの料金は4,300円です。
あと、部屋の外で何かが発光してるのが気になりました。
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動物の目ではないのがかろうじてわかるのですが…。外が暗すぎて距離感もつかめん。
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明日の朝確認することにして、お風呂に行きましょう。
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受付の時、あそこが大浴場ですと案内された方向には、扉が一つしかありません。えっ混浴?と思いましたが、中で男女分かれていました。
ドアを開けると洗濯スペースがあります。なお洗剤は使い放題。
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今日は雨の前半と晴れの後半とで、別々の日を経験したような印象でした。高知の日程はあと2日。明日は足摺岬の金剛福寺というラスボスが待っています。聞いた話によると、距離で言えば金剛福寺がお遍路の折り返しらしいのです。
ずっと続くと思っていたお遍路にも終わりは来る…。そう思うと寂しさもひとしお。