はじめての四国八十八ヶ所霊場めぐり ~ “発心の道場” 徳島編 2日目

徳島県2日目2016年8月7日

善入寺島の遍路道(切幡寺→藤井寺)

溝渕工務店さんの善根宿にて、2日目の朝を迎えました。徳島の夜に垂れ込めている熱気は幾分おさまったようですが、そのせいでうまく寝付けませんでした。ですが、壁に隙間なく貼られた納札を見回して、「ああ、お遍路にきてるんだなぁ」と心は充足しています。


さて、本日は昨日の遅れを取り戻すため、長めの行程を敷いてます。4番大日寺から11番藤井寺までの8寺。数だけで言うと、今日だけでお遍路全体の11分の1の寺を回ります。大日寺を7時の開門(?)に合わせて参拝するために、6時にここ溝渕工業さんの善根宿を出発します。

お接待!!

ちょうどその時、宿の御主人である溝渕さんと遭遇。お礼と行き先を告げると、その場で、もぎたてのミニトマトをいただきました!一宿一飯の恩義、忘れません。

第4番札所 大日寺

遍路道には善意で提供している接待所がある

うすうす予想できてましたが、夏の歩き遍路はとても汗だくになります。ですから、こういった接待所はまさにオアシスとなります。

駐車場が広い、ローソン板野町羅漢店

昨夜も来たコンビニで飲み物を補充。今日も県道を歩くので、朝飯は急いで買う必要がない。(コンビニ多いだろうから)

4番より先に5番札所地蔵寺が見えてくる

4番への道は、5番地蔵寺の脇を通るようになっています。折り返してまた戻ってくるので、先に5番に着くんですがこちらは後回しです。

 お遍路POINT その10
このように、一度通った道を再度通ることを“打ち戻り”と言います。お遍路では何か所か打ち戻り区間があるのですが、その長さはピンキリで、高知の足摺岬のように数十キロに及ぶところもあります。

恐怖のレンコン売り場

徳島自動車道

高架下のこの看板、八幡という名のうどん屋ですが、よく見かけます。チェーン店ではないようです。

境界線適用で文字を縁取り

朝の6時台ということもあり、地蔵寺からはほぼ人とすれ違っていません。犬の散歩のおばちゃんくらいです。

朝もやに霞む、朝6時半

八十八ヶ所の中には「大日寺」という寺は、3つあるようです。13番と28番にも。いずれも大日如来に関係していそうなので、不思議なことではありません。

自転車遍路の人と初めて会った

自転車で巡っているおじさんと会いました。やはりお遍路同士だと、自然と目が合って会話になります。いつから打ち始めたかとか、暑いですねとか話したあと、「ま、がんばって」みたいな感じで終わります。「弘法大師様と二人連れ」とよく言いますが、単独遍路は基本的に孤独なので、誰かとしゃべる時間が好きです。

自転車での遍路も考えたんですが、坂がきつそうですよね。

朝7時になりましたので参拝します。

大日寺 山門

本堂と大師堂をつなぐ回廊には、西国三十三観音御像が安置されています。ガラス越しに自由に見ることができます。

西国三十三観音像

朝の掃除兼、納経所のお坊さんにも、

「順打ちやな。いつから?」

と聞かれました。昨日からであることを伝えたのですが、なんで順打ちだとわかったのだろう…。まあ、そうは言っても大体のお遍路さんが順打ちだから、当てずっぽうだろうと思っていたら、

「逆打ちはわかる。この前もおったけども、ええ顔になっとるわー。ま、ま、焦らんと行きや。」

とのこと。つまり、逆打ちだとこの4番札所は終盤となります。ハードな霊場巡りを経験して、結願直前まで来ると“いい顔”になるのだと言います。

第5番札所 地蔵寺

来た道を、地蔵寺まで戻ります。

うどん亭 八幡

この看板です!昨日からやたらと見かけます。ハンサムな職人が、うどん延ばしてます。どうやら旅館もやってるらしいです。『10番切幡寺より約1km南』とありますので、もしもの時のために本日の宿の候補に入れておきます。でもね、僕にはお目当ての場所があるのです。昨夜の宿で見た宿泊情報一覧のプリントで知った宿です。

打ち戻り

地蔵寺まで戻ってきました。

地蔵寺 大師像

このように、お大師さんが各寺で出迎えてくれます。

ベンチの配置、絶妙だな

せっかくですから、僕が学んだ参拝手順をここで紹介します。「僕はこうして参拝する!」

手水舎(てみずしゃ・ちょうずしゃ)

まず、手水舎の水で手を清めます。最後はひしゃくの柄を清めるのも忘れずに。

地蔵寺 本堂

本堂前には、必ずこういう灯明台(とうみょうだい)があります。

灯明台

こちらに献灯します。

ろうそくに火を点けるのはライターで良い

さらにここから線香の火をもらいます。他の人のろうそくから“もらい火”はダメ!

 お遍路POINT その11
お遍路に限ったことではありませんが、もらい火をすると他人の“業”や“厄”をもらい受けてしまうと言われているそうです。めんどくさくても、自分でろうそくに火を灯しましょう。

線香は3本まとめて

これを本堂の真ん前にある香炉に立てます。遠慮せずに中心に近い場所に立ててください。(後の人のために)

香炉

巣鴨のとげぬき地蔵のように、煙を体の悪い部分に当ててる人は見かけませんでした。

階段の上には、銀色の2つの箱があります。納札箱と、写経奉納箱です。僕は写経をしていないので、納札だけ入れます。

納札1枚

そして、経本を手にお経を唱えます。

経本

これと同じことを大師堂でも繰り返します。僕は20分ほどですが、もっと時間をかけて読経する人もいます。

最後に納経所で御朱印をもらって終わりです。どうですか?これ全ての寺でやるんですよ。せめて道具を出しやすくしておく必要があります。

黒沢年雄がかぶっているやつかな

山門の前には露店が出ています。バス遍路のおばちゃん達が、足を止めそうなお菓子などを販売しています。気さくな露店のおじさんに、もし探しているなら、と宿の宣伝の紙をもらいました。

お宿やまさ 藤井寺に近いようだ

先ほども言いましたが、もう今晩の宿の目星を付けています。それは藤井寺近くの、『鴨島温泉 鴨の湯』という善根宿です。宿泊可能無料という文字と、電話番号の記載がありました。

昔からのへんろ道は、たいてい細い

次の寺へ向かう途中で、鴨の湯に予約の電話を入れました。すると電話口の女性は、予約は不要と言います。「畳にゴロ寝ですけど、構わなければどうぞいらしてください」とのこと。

基本遍路道は、のどかな道と大きめの道をかわりばんこに通る

24時間営業というわけではないようです。寝る場所をどのようにしてお借りできるかはわからないですが、とりあえず宿の不安はなくなりました。

昨夜も通った遍路小屋

夏なんでそこいらの遍路小屋で寝るのもアリですが、暑くて寝袋入っていられないと思う。

このあたりは『たらいうどん』が名物のよう

たらいうどんってどんなうどんでしょうか。土成地区の名物とありますが、今回はスルーしました。

あと、昨日夜道を歩いていて、車との接触するかもしれないという怖さを感じました。車から認識してもらうためにも反射材を手に入れたかったのですが、ちょうどいいところにホームセンターを発見。

反射腕巻きシート

県道にあるコメリ上板店で買いました。これをリュックに付ければ、夜でも視認効果バッチリですね。

第6番札所 安楽寺

この道デジャヴだな

昨日も通った道です。朝はまた違う雰囲気ですねと言いたいところですが、同じですわ。そんなこんなで、到着しました。

9:30、安楽寺前に到着

その前に向かいのトイレに寄ります。注意書きが興味深い。

なぜか『自民党一党独裁』『自民神様!』と書いてある…

トイレの上の方で、何かが巣食っていました。さぁ、安楽寺の山門へと参りましょう。

山門の2階が通夜堂になっているらしい

この2階部分に泊まる予定でした。

こちらのお寺、境内で撮影した写真をHPへ掲載することに厳しいようで、看板にて注意喚起をしておりました。ひと通りお参りを済ませたので、次の十楽寺さんへ向かう前に、ここで休憩を入れます。

確実に30℃は超えている。周りのご年輩お遍路さんが、ソフトクリームを多く頼まれている感じだったので、僕もマネして注文します。

気温30℃を超えると、アイスよりかき氷が売れると言うが

いやぁ、この暑さだと何でもウマいな!汗だくになりながら大量の水を“飲み”、筋肉痛になりつつも寺を“打ち”、巡拝後にソフトクリームを“買う”…。ずいぶんと健康的な“飲む、打つ、買う”じゃないだろうか。

十楽寺← | →安楽寺

もちろん、この暑さは大変だけれど、平坦な道なのでどんどん進める気がしています。

第7番札所 十楽寺

阿波市へ

阿波市に入ります。そもそも今までがどこなのかわからず進んでいます。標識越えてから裏側を見ると、上板町ということでした。ありがとうございます。

熊野神社の茅の輪

右側に熊野神社が見えてきました。世界に数ある“輪”の中で、茅の輪が8番目くらいに好きなのですが、先を急ぐのでここはグッと堪えて通り過ぎます。ちなみに7番目が土星の環で、9番目がミステリーサークルです。

矢印で示された方を見ると、すぐ山門

十楽寺山門

御所小学校

アスファルト道が続く

初心者マークが落ちていた

第8番札所 熊谷寺

右手側に御所の郷という温泉施設が見えてきます。結構混んでいる感じです。

熊谷寺までの道はほぼまっすぐだ

少し勾配のある道を進むと熊谷寺が見えてきました。これはデカそうな寺だ。

山門の雰囲気は新興宗教のようだ

これまでの寺とは規模が違う

何か人の声がすると思ったら、お経が拡声器から流れていた。

熊谷寺 本堂

御朱印を頂こうと納経所に行くと、ちょうど団体の納経とぶつかってしまいました。バスで回っている団体遍路の場合は、だいたいガイドさんのような人が代表してドサッと納経帳の束を抱えて持ってくるようです。納経所の墨書担当者がかわいそうなくらいです。これが終わらないと自分も対応してもらえないなと思っていたら、ここでは団体を3冊書き終えたら個人を1冊対応しているそうで、あまり待つことなくて助かりました。

天女の絵が山門の2階天井にかかれているらしい

ちょっと高台にある感じとかも含め、郊外型の巨大な霊園と似ている気がしました。さて、次の法輪寺までは2.4km。ちょうど12時なので、ここらでお昼にしたい感じです。

徳島自動車道の下を通過

このあたりから見通しの良い田舎道を歩きます。

緩やかに下る

日差しを遮るものがないのが辛いですが、そのぶん風も吹いてくるので気持ちいいです。スケボー遍路の若者が、さっそうと僕の脇をすり抜けて行きました。昨夜の安楽寺でも見たな…。

第9番札所 法輪寺

山の上の寺があれば、平地の寺もあります。その代表例が法輪寺です。

田園地帯の中の法輪寺

法輪寺山門

法輪寺の納経所の男性(こちらのお坊さんかもしれません)は、ルーティーンが他の人とは異なっていました。何の事かというと、これまでの方は御朱印を押したあとに墨書をしていたのですが、その手順が逆だったのです。

法輪寺本堂

その方が言うに、「私の感覚的なものですが、朱肉の油分が墨汁をはじくのが好きではない」のだそう。確かに墨はすぐ乾くので、その上から御朱印を押しても問題がありません。こだわりが垣間見えるのは嬉しいですね。

法輪寺前のお店で昼食にします。

鐘萬 うるし茶屋

ごく普通のお母さんが営んでいます。このお店にした決め手は、通気性に優れていそうだからです。

そば米汁も気になるな

四国に来たからには、本場のうどんを(香川はまだまだ先ですが)食べたい。そう、長嶋茂雄氏のように、シャワーみたいに浴びるほどうどんを食べたいのです。

時刻は12:30

しかしのどかだ。こんなにものんびりとした気持ちになって、逆にあせります。今日は次の次の藤井寺まで行く予定です。

ざるうどん 400円

お店のお母さんが言うには、まず切幡寺まで1時間、そこから藤井寺まで3時間はみておいた方がいいとのこと。もうそろそろ13時なので、急がないと納経所が閉まる17時に間に合わないかもしれません。

そうと分かれば、うどんを早々にたいらげ、切幡寺へと歩を進めるのであります。これから4時間、ずっと早足で歩くことが決定した瞬間です。

第10番札所 切幡寺

法輪寺を出てすぐ位に、ひとりのおっちゃんが話しかけてきました。

自転車遍路の方…ではありません

以下、おっちゃんから仕入れた情報。

  • おっちゃんはこのあたりでナスを栽培している
  • 今日は鴨の湯に泊まることを伝えると、「聞いたことあるけど行ったことないなあ、家に風呂あるのに行かんわ、もったいない」
  • 藤井寺行く前にサンクス・マルナカ・キョーエイなどがあるので、晩飯には困らない
  • この前も、道に迷った女の子のお遍路さんを切幡寺まで送って行った
  • 切幡寺は山門からが長い

いろいろな話をしながら、切幡寺の山門まで連れてきてくれました。

切幡寺参道

忙しい中ありがとう、おっちゃん。

参道には遍路用品店がある

遍路用品店はスモトリ屋という店で、力士の絵がトレードマークのようです。

ここも大きい寺のようだ

ここにも“八幡”の看板があります。すごい宣伝効果だけど、いったい店はどこにあるんだ!そして境内にようやく着いた!

この時点で14時。

切幡寺本堂

安楽寺でも見かけたスケボー遍路の若者がいました。歩くペースがほぼ同じのようです。なんかヒョウタンのようなものを身に着けていました。破戒僧が付けている首飾りのような威圧感をかもし出していて、僕もあれがほしいです。

山門前の表示は9.5kmを示していた…

あと3時間で9.5kmとなると、休憩もそこそこにしなければなりません。ショートカットできるとこは、どんどんしていきましょう。

第11番札所 藤井寺

9.0km…

僕は割と写真を撮る方なので、平均時速で言えばそう早くないと思います。9.0kmなら2時間休憩なしで歩くと着くかなという感じです。東京で言えば、新宿駅から勝どき駅までが約9kmです。

おっと、見晴らしの良さそうな遍路小屋を発見。

ヘンロ小屋 空海庵(切幡)

これは立派な遍路小屋ですね。

2階建てなので人の目は気にならないかも

壁に宿情報が貼ってあります。僕はその日にならないと宿の予約をしません。もし、良さそうな宿だったら頭に入れておくのですが、

ゲストハウス土佐

すごい、高知の宿のお知らせです。何寺先の話だろう。例えるなら、割り算習ってないのに分数の話されても、といった気分です。

大きい道路に出ると“あの店”がありました。

うどん亭 八幡を発見!

看板ではずっと見てきていたので、親しみを感じて入店するところでした。おなかが減っていないので、またいつか来たいと思います。

懐かしいような町並みだ

土手に突き当たる

お遍路道が土手を突っ切る形になっています。土手の向こうには民家はおろか、街灯さえない自然が広がっていました。

お遍路さんいつまでもお元気で

たまに車が通るので端に寄らなければならない。

吉野川に架かる大野島橋を渡り善入寺島へ

この吉野川に架かる沈下橋で、日本最大の中州『善入寺島』へ上陸。地元では、沈下橋ではなく潜水橋と呼ばれているらしい。

藤井寺まで5.9km

日光を遮る建造物がほとんどありません。腕の汗がツーっと流れて、いつの間にか手のひらがベタベタになります。夏なんだな。

さすがにこのあと笠をかぶった

風にざわめく草木の音しか聞こえないので、歌でも歌いたくなるのですが、両側の畑にたまにおじいさんやおばあさんが潜んでいるので注意が必要です。

中州とは思えない広さ

88のすべての寺を回ることを“結願(けちがん)する”と言いますよね。遍路で願い事をすると叶うんだよ、といろんな人が言います。四国に来て、「願い事をしてもいいんだー」と思いました。願い事自体が煩悩になるんじゃないかと思っていたので。

川島橋

願い事…、あると言えばあります。究極的な話ですと、死んだ人を生き返らせたいです。ドラゴンボールだって、その願いのために冒険をするわけですから。あるいは、時間が戻ってほしい、これに尽きます。だって、時間を戻すことでも解決しないことってないですよね?

吉野川(20分ぶり2本目)

でも、そういうことじゃないんでしょうね。すべてを前向きにとらえる心、それが身に着くとかそんなところじゃないでしょうか。1日2日なので、まだわかりませんね。

吉野川市に入りまーす

土手を越えると遍路小屋があります。

遍路小屋を発見

利用の定め(掟)が貼ってあって、『1泊に限り利用可』とのこと。歩く配分を間違えると、ここにお世話になる可能性もあります。

← 車 | 徒歩 →

徒歩と車で、道が分かれています。徒歩の遍路道は、ほぼ民家の軒先。

すごい人んちの敷地感

おっ、過去に流行ったであろうジュースの看板を発見。

patio パティオ まぶしいおいしさ

こういうのを見ると、「おとといまで東京で働いていたのに、いまはこんな場所にいる!」っていうギャップを感じます。これ譲ってくれないかな…。部屋に飾ったら、帰宅のたびにギャップを感じられるから。

藤井寺山門

本日の最終寺に着きました。納経所が閉まる17時直前ですが、着いたらもうこっちのもの。白衣を着た父子が、これから参拝をしようとしています。

僕がろうそくをろうそく箱から取り出して、線香ケースから線香を取り出して、あれライターはどこだっけなぁとやっていると、散歩兼、お参りっぽい女性が話しかけてきました。おもむろに女性が見せてくれたカンペンのようなケースの中には、ろうそくや線香が必要な量だけスッキリとまとめられていました。僕の手際の悪さを見かねて教えてくれたんです。これはマネしたい。

藤井寺本堂、鐘の音が似合う風景100選(自薦)

近所のおじさんともお話をしました。本堂や太子堂の中をよく見てごらん、と言うのです。本堂前で読経中の父子の横に立って、賽銭箱の上に身を乗り出して中を見やると、迫力のある龍の絵が描かれているではありませんか。大師堂の方に描かれているのは、きれいな山々の稜線。どなたの作かは忘れてしまいましたが、自分じゃ気付けない部分を知れてうれしい。

明日はこの本堂脇の小道から焼山寺に向かうのだ

おじさんが「あの山を越えるんだよ」と指し示した先には、ここらの山では一番高い峰が。

(これは翌日撮ったものです)

“焼山寺越え”とも言われていて、平均6時間はかかるとの情報も。

藤井寺の中で完結する八十八ヵ所がある

納経所の男性に、鴨の湯までの道を尋ねました。「十字路があって、団地があって、ガソリンスタンドがあって…」と、スマホの地図があるのに聞くというね。交流ですね。

県営鴨島呉郷団地

藤井寺から少し下ります。30分ほど歩いて、ようやく鴨の湯に到着。もう足がくたくたです。

鴨島温泉 鴨の湯

中に入って、女性の支配人らしき方にお遍路宿をお借りしたい旨を告げます。名簿に記名すると、外の善根宿に案内されます。

鴨の湯の善根宿

正式には、『鴨の湯いやしの舎』と呼ぶようです。プラスチックの波板をふんだんに使ったなんとも味のある小屋ですが、自由に使っていいコンセントも完備。

Googleマップで見ればわかりますが、周りに幹線道路がなくのどかな場所に位置しています。

畑や田んぼも多い(Googleマップのキャプチャより)

昨日の溝渕工業さんの善根宿と同じで、内部にはやはり、お遍路さんが残していった納札がびっしりと貼られていました。

電灯・電源完備、トイレも併設

このご時世、コンセントが使えるのはありがたいですね。ベープも用意されていました。洗濯機と乾燥機の設置もあります。200円で洗剤付で利用できます。

トイレと洗面台も併設されていて、野宿を考えていた人からすれば、いたれりつくせりの施設です。『鴨の湯いやしの舎は、加賀城晃氏の奉仕作業によるものです。』との表記がありますので、加賀城晃翁に足を向けて眠れませんね。(勝手に翁にしちゃいました)

自転車も使っていいとのことでした。歩き疲れた身体にとって、座りながら移動できちゃう自転車はホントに楽!(実際は漕いでいますが)

2台ある

『鴨の湯レンタサイクル』とシールが貼っていますが、実際タダです。これで、買い出しに行くとしましょう。

食事&買い出しから帰ってくると、小屋の中にバッグがありました。バッグには、昼間見かけた“破戒僧の首飾り”が!スケボー遍路君が同泊になるようです。本人の姿はありません。

温泉施設が隣ということで、今日1日の汗を流せるというのもうれしいところですね。券売機で入浴料450円を支払ったんですが、お遍路さん割引価格で360円でいいと90円返金されました。泊まらせてもらう上、風呂代まで割り引いてもらうなんて、ありがたさが身に沁みます。

風呂上がりにTシャツで風にあたります。もうひとつ小屋が併設されていますが、こちらは女性優先。

女性優先小屋

ベンチで歓談することもできます。鴨の湯の男性客と会話。「歩いてんの?明日焼山寺?飯買って行けよ。一食でええ。越えたら、宿はすだち館な。」と情報収集できました。

小屋に戻ると、スケボー遍路君のバッグが消えていました。もうひとつの小屋にもいなさそうです。謎です。今日は行程が長かったので、僕は疲れて幻覚を見ていたのかもしれません。

世話になった善根宿には納札を残していくのが風習のようだ

この日は早めの就寝です。なんたってお遍路さんがぶち当たる最初の難所“焼山寺越え”が待っていますからね。22:30ごろ水が流れる音がする。おそらく鴨の湯が閉館後に風呂のお湯を流して掃除をしていたんだと思います。スタッフさんの会話も混じっています。しかしこれが、寝つきのBGMとしては悪くないのです。

夜半ごろ少し肌寒くて目が覚めました。真夏とはいえ山のふもとに立地しているため、涼しい風が小屋内を通り抜けていきます。Tシャツの上から、霊山寺で買った白衣を羽織ってちょうどいいくらいでした。防寒対策で白衣を着るなんて、バチが当たるのではと思わないでもないですが、大師様はそういうことで怒る人じゃないんで大丈夫です。
 

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