はじめての四国八十八ヶ所霊場めぐり ~ “発心の道場” 徳島編 1日目

徳島県1日目2016年8月5日・6日

霊山寺でお遍路装備を整える

えー、かねがね行きたいと思っていた四国八十八ヶ所霊場巡りを、2016年の夏にはじめることにいたしました。うれしい限りです!それぞれ願い事や目的を心に持ちながら回るお遍路ですが、人々を突き動かすその魅力に迫ってみたいなあと考えています。


というわけで、今回は徳島県です。

さっそく徳島行きの夜行バスを予約しました。しかし、

そもそも持ち物は何を用意すればいいの?
最初のお寺まではどうやって行けばいいの?
参拝に手順や作法はあるの?

いざとなると、疑問が泉のように湧いてきます。

さらに、個人的な事情で準備がはかどらなかったので、「とりあえず、一番目の寺がある徳島県へ行ってから調べよう」と、半ば楽観的に出発当日を迎えました。宿も帰りの便も未定のままです。

夏季休暇のスケジュール

今年の夏季休暇が8月11日(木)から16日(火)までで、通常どおりであれば最大6連休をとることができます。ところが徳島県を終わらせるためにはもう少し日程が必要なのがわかりました。

そこでちょっとわがままを聞いてもらい、8日(月)、9日(火)、10日(水)に有給休暇を取ることに成功しました。

勤務

2016年 8月 5日(金) 勤務後に深夜バス乗車
8月 6日(土) 徳島県 1日目
8月 7日(日) 徳島県 2日目
8月 8日(月)
8月 9日(火)
8月 10日(水)
8月 11日(木) 徳島県 6日目
8月 12日(金) 徳島県 7日目 深夜バス乗車予定
8月 13日(土) 早朝帰宅予定
8月 14日(日)
8月 15日(月)
8月 16日(火)
8月 17日(水) 通常出社

お遍路に充てるのは7日間です。しかもそのあと出勤まで4日も休める!最高じゃないですか。

乗車地はおなじみの『バスタ新宿』です。下車地は『徳島駅前営業所横』という、寺に近いんだか遠いんだかわからない場所です。

バスタ新宿4Fターミナル

車内はひろびろ3列シートなので、約9時間半の乗車時間も苦痛じゃないはずです。

車内は3列独立シート

仕切りカーテンでプライベート空間を確保。あと、「さあ!消灯を合図に一斉にリクライニングをお倒しください!」みたいなアナウンスがあったので、気兼ねなく倒せるのがいいと思いました。

130度リクライニングシートに、毛布・スリッパ付き

着いてから精力的に動きたいので、バスでいかに寝られるかは大事ですからね。うしろから公衆便所を食ってるような匂いがしてくる以外は最高です。新東名や新名神などを通り、徳島駅に到着しました。

海部観光 徳島駅前営業所

さて、駅はどっちだ。

駅前の商店街

どうやら阿波おどりが間近に迫っているようで、期間中は徳島県内の各地で催されるようです。もう少し遅く来ていたら、見られたかもしれないです。

徳島駅前ロータリー

ヤシの木が南国に来たなーって気持ちにさせます。ちょっと散策します。

徳島駅改札

徳島駅は有人改札なんですね。1番目の札所(お寺のこと)の霊山寺は板東駅下車とのこと。

 お遍路POINT その1
1番札所である霊山寺の最寄駅は『板東駅』です。徳島駅からなら、JR高徳線で5駅。20分ちょっとで着きますよ。

徳島駅近辺にて所要があるため、まだ乗りません。

列車でなら3日で回れるかな…

お得な情報があればいいと思って販促物を見ていたのですが、今の僕にはあまり関係がなかったようです。

日本遺産認定記念散華のフライヤー

散華さんげとは、『仏に供養するため花をまき散らすこと。特に、法会ほうえで、読経どきょうしながら列を作って歩き、はすの花びらにかたどった紙をまき散らすこと。』らしいです。公式HPによると、『「四国遍路」の日本遺産認定を記念して、平成28年1月1日より平成29年5月31日まで特製の記念散華を授与いたします。』とのこと。なんのこっちゃ。

『四国八十八箇所と遍路道』という冊子も見つけた

ああ、こういう概要的なパンフレットが欲しかったです。なんせほぼ知識ゼロですから、高知県の寺と寺の間隔がやたら広いというのも、これを見て初めて知りました。

僕が知っていることと言えば、空海(弘法大師)ゆかりの四国の88か所の寺院を回るということ。それと、今年回るとご利益MAXらしいということです。ただ、逆打ちで回ればの話です。逆打ちというのは88の寺を88番目から1番目に向かって回ることです。今回僕がやるのは1番から順番に回る順打ちですので、normalご利益です。

広場で朝市を発見

どうやら、ここ藍場浜公園も阿波おどりの会場となるらしい。こういうふうに、現地の文化に触れられるのは旅の醍醐味です。さっそく野菜と漬物を売るおじさんに話かけてみました。

「今日から回んの?大変や~」

これからお遍路回るところだと伝えると、おじさんは2番札所極楽寺の檀家さんであることを教えてくれました。この間も法要をしてもらったとのこと。こんなたまたま会った人が、札所の檀家さんとは偶然です。こっちはずいぶんとお寺文化が根付いている印象です。「もし寺の人と会ったら、○○(おじさんの名前)って言えばとわかると思うわ」と言われました。(結果的には、極楽寺でお寺の人と話す機会はありませんでした。)

駅前から徳島市のシンボル 眉山を望むことができる
えぐるような打ち方だ

用事があると先ほど言いましたが、コンタクトレンズを作ろうと思ってまして、ただいま眼科のオープン待ちなわけです。旅先で医療機関のお世話になるのは初めてかもしれません。その前に腹ごしらえ。

セルフうどん やま 徳島駅前店 Cセット

朝のセットメニューで330円でした。なんかうまかった。

さて、このお遍路はスニーカーで回ろうと思っています。

今回の相棒、SAUCONY GRID 9000

これがいいのか悪いのかは、旅を終えた時にわかると思います。

眼科のテレビでは、リオデジャネイロ五輪の開会式の模様が中継されていました。普段使っている眼鏡を見せると、先生に「あなたが使っている眼鏡は、度がきつくて合ってないから、少し下げなさい」と言われてしまいました。別に目が疲れやすいとかはないのですが、言われるがまま度数の下げたコンタクトを作りました。都会で働いていて、知らず知らずのうちに、何でも見ようと欲張っていたのかもしれません。

まぁそんなことはどうでもいいんですが、無事コンタクトを作り終えた時にはお昼の時間になっていました。あと駅周辺には阿波おどり関連のモチーフが目立ちました。

公衆トイレや郵便ポストにも

阿波おどりに命を懸けてる感じがしました。もっと他にも名物があるでしょう。

徳島駅クレメントプラザ 岩田屋 肉ラーメン650円

徳島ラーメンとか、徳島ラーメンとか…。スープが甘めで濃厚なパンチのある一杯でした。おいしかったです。

というわけで、さっそく霊山寺を目指しましょう。あまりもたもたして、今日行けるところも行けなくなったらもったいないですからね。

運行間隔が30分以上空いていたのには驚いた
ワンマン運転の上だいたいが無人駅なので、運転手が一人何役もしていた

JR高徳線で揺られること5駅、20分ちょっとで1番札所に近い板東駅に着きました。

駅前の様子

板東駅は何の変哲もない無人駅でした。年間10万人を超える巡礼者数を誇る霊場のしょっぱなとしては、拍子抜けする状況ではあります。同じ便でお遍路っぽい人はいませんし、下車する人自体も数えるほどでした。まぁでも、歩き遍路や電車遍路は少数派なのかもしれません。

駅前通りの突き当りの店

さっそくシャッターが下りていたが、そこには世界遺産への願いが込められていました。

歩き遍路のために、処々にこういう案内がある

霊山寺は10分ほどのようです。案内に違わず、県道に出るとすぐにそれは見えました。霊山寺だッ!

ついに第一札所到着

第1番札所 霊山寺

 

ここから始まるのです、一年に渡る長い旅が。気分が変わって、途中で中止になったらすみません。

霊山寺仁王門

へんろ用品あります!とのこと。ここで装備は整えられそうです。

門前のマネキン

この山門にいるマネキンは、お遍路さんの装備品を紹介するものだと思うのですが、この場違い感はあえて狙っているのでしょうか。

とりあえずは、門をくぐってまっすぐ進む。

正面にあるのが本堂のようだ

本堂には灯篭のようなものがたくさん釣り下がっていて、ずいぶんと豪華な印象を受けました。

霊山寺本堂内

行ったことはないけど、タイにこれをイメージさせるような祭りがありますよね?ランタンに火を灯して空に打ち上げるみたいな。

さらに奥では、説法を受ける団体遍路の姿が。

霊山寺名物?

これから始めるための、お作法講座とかかもしれません。本堂内には、遍路用品売り場も併設。

遍路用品案内所

店員さんに教えてもらいながら、さっそく遍路用品を選びます。やはり、ここからお遍路を始める人が一番多いようで、品揃えが豊富でした。そうであることは事前に予測はしていましたが、所狭しと並べられた用品(商品)を見ると、なんとも商魂たくましいなと思ってしまいました。やっぱ、ここで買っちゃうもの。アリアハンで武器と防具を買い揃えるもの。

お遍路に必要なグッズはここで揃えられる!

黄色い表紙の『四国遍路ひとり歩き同行二人』という本があるのですが、迷った挙句、今回は購入を見送りました。初めての場合、購入する方が多いとのこと。ちなみに、“同行二人”とは、弘法大師と常にともにあるという意味らしいです。道中、常に目にする文字です。

レシート
 お遍路POINT その2
買ったもの 計8,100円(税抜)
・ライター 100円
・ろうそく 500円
・線香 400円
・納札 200円
・経本 700円
・納経帳 2,200円(+霊山寺納経料300円)
・白衣 2,000円(+霊山寺納経料200円)
・菅笠(小) 1,500円

先述の『四国遍路ひとり歩き同行二人』という、へんろみち保存協力会さんが作った地図を買うのも手かもしれません。

納経帳と白衣には、すでに霊山寺のご朱印が入っています。納経とは何ぞやという話ですが、公式HPによると『各札所でご本尊さまとお大師さまにお経を(読経、写経等で)奉納し、ご縁を結んだ「しるし」にいただくもの』だそうです。

定番である数珠、金剛杖、輪袈裟は買いませんでした。この遍路の終盤に、最強装備の僕がいたらウケますね。なお、納札おさめふだに、名前と日付を書いておくとすぐ使えるとのこと。

日付は『○月 吉日』で良い
 お遍路POINT その3
参拝した寺の本堂と大師堂のそれぞれにお線香を立て、読経をしてから、札を納めるのだとか。つまり1寺で2枚使います。参拝時はやることが多く、その場で字を書いたりしていると時間がかかってしまいます。もちろん、全部その月に使いきれるとは限らないので、名前と住所だけは書いておくとか、その先数寺分だけ用意しておくとかした方がいいです。

そのまま“正装”に着替え、本堂での参拝を済ます。その流れで、大師堂へ向かう。

霊山寺大師堂

こちらは弘法大師様を祀っているらしいのですが、もちろん僕には違いがわからないので、同じように参拝をする。写経以外はひと通りやってみて、これは結構苦労しそうな感じがしました。読経の内容にもよりますが、少なくとも1寺20分は参拝に必要でしょう。

霊山寺での参拝を終えて、僕は白衣を脱ぎ、菅笠を取ってバッグにくくりつけました。まだ、お遍路さんになりきれない気持ちがあります。白衣を着なければいけない決まりがあるわけではないのですが、そんな自分に罪悪感を感じます。身も心も涅槃※の境地に至った自分に出会いたいものです。

涅槃ねはん…一切の煩悩から解脱した、不生不滅の高い境地。66~88番札所を擁する香川県は、“涅槃の道場”と呼ばれている。

第2番札所 極楽寺

まあ、そんなこんなでね、山門前の通りを西へ歩くと、ほどなく二番札所極楽寺の看板が見えてきました。

ドライブイン感覚の看板だ

この時点で15:50。このあと、何寺回れるでしょうか。

同じ、県道12号線にある
赤い山門ときたかー

霊山寺から30分ほどで、極楽寺に着きました。

極楽寺境内

あれ、人がほとんどいない。霊山寺の喧騒から一転、ひっそりとしています。

樹齢1200年『長命杉』

2組くらいの参拝者を見かけるだけです。

朝市のお父さんが、ここの檀家さんだと言っていた

参拝後、初めての納経所へ。

さっき買った納経帳

さきほど霊山寺で買った納経帳には、霊山寺のご朱印がすでに押されていました。納経所で「お願いします」と言って、納経帳を出します。

筆で極楽寺参拝の“証”を書いてもらえる(納経料300円)

ハンコを押した後に、サラサラと筆を走らせるのに見入ってしまいます。何が書いてあるのかは、まったくわからないですけど。

書いていただいた女性に、このあと次の3番札所金泉寺へ行くつもりだ話すと、「どのお寺も、納経所は5時までなので、急いだほうがいいですよ。」と教えてくれました。この時点で、時刻は午後4時を回っています。急ぎます。

 お遍路POINT その4
納経所の開いている時間は、全札所一律で朝7時から夕方5時まで(7:00~17:00)です。参拝だけできればいいという人には、納経所はあまり関係がありませんが、納経帳を完成させたい人には重要事項です。開所時間を念頭に置きながら、一日のお遍路プランを立てているはずです。また、納経は参拝を終えてからが正式な手順です。

第3番札所 金泉寺

道端にはまだ青い柿の実が生ってた

金泉寺までの3km弱の道のりを早足で歩きます。途中でポケモンGOをやっている親子を見かけました。路傍のお地蔵さんも、自分がポケストップになる日が来るとは思うまいて。

遍路道のほとんどが、このような舗装路らしい

県道から外れ、民家の間を歩きます。夕方とはいえ夏真っ盛りで、汗だくになるんですよね。あついぞ、徳島!霊山寺の自販機で買ったお茶を飲みながら歩くこと35分、金泉寺に到着。

(あとで思い出してツイートしたので、実際の時間とズレています)

金泉寺境内

なんとか間に合いました。納経所が閉まってしまうと、明日の朝7時まで待たなければなりません。

鐘楼とベンチの位置、絶妙だな

参拝後の鐘つきは、『もどがね』と言って縁起が悪いのでしてはいけないそうです。するなら参拝前に!

 お遍路POINT その5
元々は時刻を知らせるための鐘楼ですが、鐘をつくことは供養にもなるとされているようです。現在でも、除夜の鐘をついて新年を清らかな気持ちで迎えるという風習もありますよね。でも、絶対やらなければいけないわけではないので、近隣への配慮から早朝や夜間の鐘打ちはやめておきましょう。僕は近所の方に、「参拝後に思い出したように鐘を打つのは、縁起が悪いのでしちゃいけないよ。」と教えてもらいました。
納経所内の様子

駆け込みで納経を済ませました。まだ明るいですが、今日はここまで。ひと安心したものの、今晩の宿について考えないといけない時間です。

次の4番までば5km…

いったん県道まで出て、コンビニで休憩します。店員さんによると、この付近でドミトリーがあるとのこと。

時刻は17時、この辺で泊まれればいいけど…

さっそくドミトリーに確認してみるも、今日は満室との返事。そういや土曜だったか。僕が調べた限りではこの付近と、4番と5番札所の付近には宿が見つかりませんでした。もういっそ6番札所まで行って、宿泊OKの通夜堂を利用させていただく案が急浮上。6番安楽寺さんに電話したところ、ご自由にお使いくださいとのことでした。

フキかな?

逆戻りになるけど明日は6番を参拝せずにまず朝早く出て、4・5番へ向かい、参拝してから6番へ戻ってくる予定になりました。幸い、足は疲れていません。

バス停、最悪ここでもいけるな

寝袋を持ってきているので、野宿できる場所にもアンテナを張って歩を進めます。

県道沿いはスーパーやコンビニが多かった
3番金泉寺から6番安楽寺までは12km…

陽が落ちてきました。

古めかしい森永の自販機

自販機に電源もサンプルの缶も入ってないし、つめた~いの棒、長すぎ!

公衆トイレ、実はここが…(後述)

お遍路さん用のトイレがあります。いろんなお接待がありますね。無料で宿や休憩所、食べ物を提供されたりすることを、お接待といいます。

たこ焼き屋

なかなか個人経営のたこ焼き専門店って見かけないですよね。珍しかったので、記念に一枚。

時刻は19:10

夜は怖い。何が怖いって言いますと、たまに歩道が途切れたりする場所です。車にちゃんと認識してもらえないと、接触事故の危険があります。

5番地蔵寺と6番安楽寺の間の遍路小屋

中で休める遍路小屋があります。ここは野宿OKかな?

安楽寺まで2.1km!

すっかり暗くなってしまいました。

安い!早い!
星きれい!

いろいろツッコんでいるうちに、6番札所安楽寺に到着しました。

6番札所安楽寺入口付近

今日は宿坊にもお客さんが泊まっていると聞いています。通夜堂は山門付近にあるとも言っていた。時刻はちょうど20時、昼間は巡拝者でにぎわう寺も、すっかり人気がありません。

おそるおそる入口を窺おうとしたところ、一人の男性に話しかけられました。袈裟を着ていたので、お坊さんであると一目でわかりました。どうやら、車のそばで一息ついているようでした。

お坊さん
まだ、歩くのですか?
いえ、今日はここの通夜堂をお借りすることになってます
お坊さん
そうですか。(山門の方を見て)電気が点いていないので、今日は誰も使っていないようですよ。
あ、こちらのお寺の方ですか?
お坊さん
いえ、私は金泉寺の奥の院の者で、今日はたまたま…。(と言ったと記憶)
そうなんですか。明日またそっちの方に戻るんですよ。大日寺(4番札所)の納経所が開くのに合わせて、ここを出ようと思います。結局またここに来ます(笑)
お坊さん
それならかなりロスになりますね。…あそこ今日誰もいないはず…。大日寺の近くに寝泊まりできる場所がありますので、なんでしたら車で送りますよ?
えっ、そんなところがあったんですか?
お坊さん
明朝、4番の近くから始めた方がいいじゃないですか?

こちらのお坊さん、僕をその宿泊所まで送ってくださると言うのです。もし明日4番近くからスタートできるとしたら、僕としても助かります。お言葉に甘えて、車に乗せていただきました。思えばこれが初のお接待です。

話の流れをぶった切るようですが、ちょうどこの時に安楽寺の山門から、“スケボー”のお遍路さんがピャーッと出て行きました。いろんなお遍路の仕方がありますねぇと二人で顔を合わせました。というわけで…

車の中では興味深い話を聞くことができました。お遍路で一番大事なのは“全てを受け入れること”だというのです。物事がうまくいかない時も「なんで自分が」と思わずに、その起こった事実を受け入れるようにすれば…というようなことを仰られておりました。

抗うことで成功をつかんできた僕には、予想外で、それこそ受け入れがたい考え方です。その言葉の本当の意味が分かるときが来るのか、とも思います。15分ほどのドライブでしたが、何かが心に引っかかるような、そんな時間になりました。あとごめんなさい、成功はつかんでいませんでした。

降ろされた場所は、一度通り過ぎた小屋の前でした。さっきの公衆トイレの場所です!

電気をつけなければ物置小屋のよう

電気を点けてもらい、中をのぞくとぎょっとしました。壁一面に納札がびっしり!そしてムア~っと暑い。

壁に貼られているのは納札

ここを使わせてもらったお礼に、お遍路さんが納札を残していったのでしょうか。

 お遍路POINT その6
納札はお寺に納めるだけでなく、このようにお接待を受けた時にも渡すもののようです。扱いに困るという一面から、あえて納札を受け取らない方もいるようです。

こういった善根宿ぜんこんやどはお遍路さんを助ける存在です。こちらは溝渕工業さんご提供の善根宿です。

乗せてくださったお坊さん

お坊さんには親切にも、こちらの宿の使い方など教えていただきました。コンビニは500m歩けば着くとのこと。お坊さんにお礼を言い、ローソンで買い物をしてきました。

ポット、扇風機、ラジカセ

水道や電源が完備、トイレも併設されています。お茶っ葉も用意されていて、ポットを使ってあったかいお茶を飲むこともできます。もう一度言いますが、こちらは完全に個人の方が提供するスペースです。

 お遍路POINT その7
善根宿は地元に住んでいる方が、無料あるいはほぼ無料でお遍路さんを泊める場所です。あくまで雨風をしのぐ一夜の宿として、マナーを守って使わせていただきましょう。
こちらのカンカンに宿賃500円を入れるシステムのようだ

500円ですか。小屋・トイレなどの維持費や土地代もあるでしょうに。テーブルの上には、宿泊所の情報一覧のプリントがありました。

道中の宿が細かく載ってた

このプリントを作った人は、遍路のエキスパートのようだ。非常にディテールが細かいのです。例えば、

22番~23番:善根宿きくや(平等寺を出てすぐ)、軽勤労必修、無料。

とか

59番~60番:臼井町来迎、東屋、道安寺に連絡。光明寺、通夜堂。その先700m銭湯、360円。

など、足で稼いだとしか思えない情報を、惜しみなく提供してくれています。いまどき無料案内所だって、お金取るところありますよ。

あと、駅やバス停での野宿は、地元の方から苦情があるとの記載も。わかる気がする。

コンビニで買った晩飯

近くのローソンで買ったおにぎりを食べながら、本日買ったお遍路グッズを紹介したいと思います。

ローソクと線香

線香はローソクの火から点けます。ローソクにはライターで火を点けます。

納札

納札は、本堂でお参りした時、大師堂でお参りした時、お接待を受けた時などに使います。さっきのカンカンに入れておきます。これからどんどん使うので、このあと住所と名前を書いておくとしましょう。

作法のパンフレット

霊山寺でもらったパンフレットによると、金色の納札もあって、50回以上回るような猛者が持っているらしい。ここには写真がないけど、さらに上の錦の納札もあるらしい。100回以上回ると使えるようになるらしい。意味が分からない。

経本

もちろん、読経せずに巡拝して終わる人もいます。それが悪いわけでもないらしい。これが最初で最後の遍路になるかもしれないので、僕は可能な限り読経して行きたいと思っています。

光明真言
「おんあぼきゃ べいろしゃなう まかぼだらまに はんどま じんばら はらばりたやうん。」×3 高祖寶号
だいへんじょうこんごう」×3 回向文
「願わくは、此の功徳を以て、普く一切に及ぼし、我等と衆生と、皆共に佛道を成ぜん」×1
 お遍路POINT その8
僕の読経は簡易版で、この3つの項目をまず読み上げます。そのあと、それぞれのお寺に合わせた御真言を読み上げます。御真言は密教において、“真理を表す秘密の言葉”。真言宗の名称の由来ともなっています。読み上げる御真言は、お寺に安置されている御本尊によって異なります。

意味が気になる人はググってください。

納経帳と御影おすがた

今日は1番から3番まで御朱印をいただきました。

1回の納経料は300円、88寺で26,400円納めることになる

まず朱印を押して墨書。最後に寺の名前を書くというのは、なんとなくわかった。

 お遍路POINT その9
納経の証としてもらえるのが、朱印と墨書。
まず、一番右に『奉納』と書かれています。真ん中には、諸尊を表す一文字の梵字(種字)と、その下には諸尊の名前。この場合は、種字の『भःバク』と釈迦如来の尊称である『釈尊』という文字が書かれています。最後に寺名(または山号)が書かれています。この場合は『金泉寺』。
納経をすると御影と散華をセットでもらえる

徳島駅で散華の広告を見た時は意味が分かりませんでしたが、これを集めて台紙に貼ればハスの花が出来上がるというわけですか。

それにしても暑い。昼間の熱がこもっていて、このままでは寝ることはおろか、じっとするだけでも耐えられない。のちのち、「徳島は暑かったんだよな~」と記憶に刻まれるくらいの暑さです。ありがたいですね。

Tシャツを洗濯した

とりあえず扇風機を強にして、ここから熱気を追い出していこう。それだけでは蚊が入ってくるので、置いてある蚊取り線香を焚こう。

テーブルの上の遍路日誌みたいのを拝見したところ、昨日も人が泊まっていたようでした。何かを見てここにたどりついたのでしょうか。それとも、人づてに聞いてきたのでしょうか。いずれにしても、真夏に歩き遍路をするなんて変わり者か、あるいは急に何かを思い立ったとしか思えない。

白衣、ほとんど着ていない

思えば、ここ徳島は“発心の道場”と言われているのでした。念願だったお遍路に「今しかない!」と思い、引き寄せられたようにここにいる。僕もご多分に漏れず、です。

明日は、11番札所の藤井寺まで進みたいと思います。今日のように回り道をしなくても、30km以上の距離を移動しなければなりません。まずは7時には4番大日寺に着けるようにここを出よう。だから今日はもう寝よう。

それにしても、スマホを充電できるってホントにありがたいことです。道中、スマホの電源が切れたら、路頭に迷うことが容易に予想されます。次の日の予定が立てられないですからね。今後、こんな恵まれた場所に泊まれる保証は全くありません。贅沢にも扇風機の風を浴びながら、この日は眠りに着きました。

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海野 浩
海野 浩
2018年10月28日 10:13

四国巡礼でGoogleしてみたらIcedeviderさんの
Web Site見つけましたので。今日読み始めました。

私はもう日本若いときに日本を離れて40年じかくになって今は隠居したので、日本に独りで行くときにはどんなところにどんな旅をしようかなあと、
いろいろ全然知らない事参考になります。本当に有難う。

私はCanadaに27のとき移住してきて。
そのときまでは東京にすんでいたけど何しろ長野県から出てきたので、
大都市が嫌いで週末にはよく友達と奥多摩などにハイキングにでかけていました。

変な日本語でごめんなさい。

川口 幸一
川口 幸一
2019年8月15日 17:48

ちょうちょうさん

お遍路徳島編、高知編共に、面白く読ませていただきました。
参考にさせていただきます。

私も今年(2019年)の10月15日からお遍路に出発する予定です。私は、走りお遍路で回ります。

もし時間が取れましたら、愛媛編、香川編の執筆もお願いします。

遍路日記

徳島編の日記

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高知編の日記

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愛媛編の日記

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香川編の日記

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