はじめての四国八十八ヶ所霊場めぐり ~ “発心の道場” 徳島編 7日目
徳島県7日目 | 2016年8月12日 |
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徳島最後の札所 薬王寺
“平等寺から8秒8歩”でおなじみ、山茶花にて7日目の朝を迎えました。本日は徳島編最終日です。残るは、阿波最後の霊場である薬王寺、ただひとつ。ここ平等寺からは20kmほどなので着くことは着くのですが、問題は薬王寺前の道の駅から発車する11時58分大阪行きのバスに間に合うかどうかです。
山茶花外観
昨日着いてから、すぐに暮れてしまい撮れなかった外観。左が新館、右が本館。食事の時だけ食堂のある本館に行きます。今日も朝からいい天気です。
食堂に一番乗り
朝から食堂のテレビは、内村選手の体操個人総合連覇のニュースばかり。徳島新聞には、阿波おどり直前情報が少し載ってます。
山茶花の朝食
お昼前に薬王寺着かないとヤバいと話すと、おかみさんが「アップダウンないけん、山側の道行った方がいい。3キロは少ないんとちがう?」と言います。
なるほど、確かに!山側の『土佐東街道』と、海側の『徳島県道25号線』に別れるポイントが地図で確認できます。山側の道を進むことで、少しでも距離を短縮したいですね。希望を言うなら間の日和佐道路を通りたいのですが、自動車専用道であるため無理なようです。
山茶花を7時に出発。まずは平等寺を参拝してから、本日の行程スタートです。
本堂まで上がってくると見晴らしがいい
第23番札所 薬王寺
次の23番薬王寺は、徳島県最後の札所です。同宿だった三人衆にさっそく追いつきます。
本当にペースが一緒なんだな
お遍路がなければ、交わることのなかった三人衆。追い抜き際、お互いの健闘を祈り合いました。
国道に合流する
何日ぶりの国道55号線だろう。
鉦打トンネル
室戸まで96km。室戸には高知最初の札所である最御崎寺があります。もはや、「あるだろうと言われている」くらいのレベルだ、96kmなんて。
でも、ある意味、ここをまっすぐ行くだけで着くことができるので、わかりやすと言えばわかりやすい。
『ヘンロ小屋第3号 鉦打』
午前8:30。あと11km。
福井トンネル
トンネル入口に押しボタンがあります。何の意味があるのでしょう。押してくださいと書いてあったので押しましたが、全く反応が無い。
阿南市福井町の小野という集落を通過
さて、お遍路道しるべの通りに従って進んでしまうと、『由岐坂峠』という道を通ることになります。海側ですね。もちろんそちらが遍路道として王道なのですが、山茶花のおかみさんが言うように、距離が長くなるようです。
ミニ西国三十三ヶ所なんてのもあるのか
そういえば、おかみさんはこの間『小豆島八十八ヶ所めぐり』に行ってきたと言っていました。このお遍路にやってきて『四国別格二十霊場』や『西国三十三所』という巡礼路があるということを僕ははじめて知りましたが、まさか小豆島にまで…。おかみさんも「小豆島にもあるんやねぇ」と思いながら、三日で回りきったそうです。
星越トンネルの手前からはじまるグリーンライン
お遍路さんのためのグリーンラインという路側帯がありますが、暗いトンネルの中では安心が出来ません。
ボンカレーのレトロ看板
現役(?)で使われているボンカレーのホーロー看板をはじめて見ました。
やさしいね
歩道を作れないから、グリーンラインという形で対処しているのかもしれません。
沿道の栗が青々としている
放し飼いか野良かわかりませんが、振り返るとうしろに狂暴そうな犬がいました。
犬が追いかけてきた
目が合っているときは静止してますけど、目を切ると距離を詰めてくるんです。テレサのようなヤツだ。
久望トンネル
犬と目を合わせながら歩き、なんとかまくことに成功。
一ノ坂トンネル
あと、山茶花のおかみさんが言うように、この道アップダウンがほとんどありません。
あと4km
コンバインを操作しているおじさんに、「暑いねー」と声を掛けられました。8月なのにもう稲を刈り取るんですね。
日和佐に近づくにつれ、宿の看板が増えてくる
さきほど別れた同宿の三人衆は、今日は『国民の宿うみがめ荘』に泊まると言っていました。彼らの旅は明日も続くのだ。
でっかいドライブインが見えてきた
『海賊舟』という食堂があります。歩き始めて4時間、お腹も空いてきたので迷いましたが、時間が気になるのでやむなくスルー。
はりぼてのような岩だ
左に行くと大浜海岸。
そしてついに、5時間ほぼ休憩なしで20kmを歩き続けて、我ながら恐ろしいスピードで着いてしまった。(バス出発の15分前)
朱色の塔が印象的な薬王寺
もしも今日このまま続けていたら、40km行けたかもしれません。
二十三番 薬王寺! pic.twitter.com/ePe319sU21
— ちょうちょう (@icedivider) 2016年8月12日
(あとで落ち着いた時にツイートしたので、実際の時間とはズレています)
バス出発まで本当に時間がないので、山門の先にある本堂へは行けませんでした。薬王寺は山門横に納経所があるので(上にもある)、こちらでご朱印だけ頂くことにしました。本堂前で読経をせずに、納経所に立ち寄るのは本来ダメなことです。次回はまず、本堂を訪れることから始めたいと思います
道の駅日和佐名物の足湯
薬王寺の次は24番最御崎寺ですが、その行程は75km。高知編は自転車という手段も選択肢の一つに入れなければ。
日和佐バス停
バス停に着いたのが3分前でしたが、どうしても空腹を満たしたいので、道の駅のたこ焼きとから揚げを食べました。徳島のたこ焼きを食べたかった。
地ダコ(美波町産)が入ったたこやき
店のおばちゃんが「バス見とくから食べてな」と言ってくれたのですが、時間になってもバスが来ません。
阿波尾鶏のから揚げ
お遍路さんが守るべき戒め『十善戒』の一つに不殺生というのがあります。中には本人の考えで、肉や魚などの生き物を一切食さずに回っている人もいるようです。頭が下がります。
<十善戒>
- 不殺生
生きているもの、すべての命を大切にする。 - 不偸盗
物を盗まず、他人のものを大事に扱う。 - 不邪淫
性は尊いものであり、節度をもって性を考える。 - 不妄語
うそ、偽りはいわず、真実を話すことを心がける。 - 不綺語
虚飾のことばは話さず、飾らない本当のことばで話す。 - 不悪口
悪口は言わず、相手を思いやることばで話をする。 - 不両舌
どの人に対しても、二枚舌を使わず、温かな気持ちで話す。 - 不慳貧
強欲をはり、貪ることなく、感謝の気持ちで過ごす。 - 不瞋恚
怒りをおさえ、心を落ち着けて、優しい気分で過ごす。 - 不邪見
邪な間違った考えを捨て、どの人にも平穏な気分で接する。
にぎわう道の駅日和佐
日和佐燻製工房さんが、魚介のスモークを販売していましたよ。結局10分くらい遅れてバスが到着しました。
しっかし徳島は本当に暑かったなぁ。自販機を見かけるたびにお茶を買っていました。
『ふるさと由岐まつり』の準備中
今回は徳島編と銘打って歩いてきましたが、一旦ここで終わりです。ひと月以上先の、9月のシルバーウィークにまた再開します。道中出会ったお遍路さんたちは、僕が四国から離れている間に結願するんだろうな。そう思うと同時期に喜びを分かち合えずに寂しい気がします。
うしろ髪をひかれる思いで、車窓の景色を見送ります。「今すぐ続きをしたい!」という気持ちですが、こればっかりはそうもいきません。まあ、また別の季節にお遍路ができるというのも区切り打ちの魅力です。来月なんてあっという間なんだからと切り替えて、東京で精進することにしましょう。
おまけ
バスの予約をするのが直前になってしまったため、徳島―東京の直通便は満席でした。というわけでバス2便を大阪経由で乗り継ぐことになりました。考えてみると、物心ついてから大阪に行ったことがありません。ですので、せっかくだから乗り継ぎの合間に大阪を満喫することにしました。