はじめての四国八十八ヶ所霊場めぐり ~ “発心の道場” 徳島編 6日目 | ジジイの氷割り

はじめての四国八十八ヶ所霊場めぐり ~ “発心の道場” 徳島編 6日目

那賀川越えの遍路道(立江寺→鶴林寺)

立江寺宿坊にて、6日目の朝を迎えました。いよいよ徳島にも終わりが見えてきました。四国各県を1県ずつ区切って打つことを“一国打ち”と呼びますが、徳島最後の23番薬王寺の巡拝を終えたら、いったん東京に帰ろうと思います。どうやら、その到着が明日の午後になりそうなんです。


なぜ帰るかと言うと、お盆休みを利用してお遍路に来ているからです。もしこのまま続けると、あと25日くらいはかかってしまいます。幸い、お寺の回り方には決まりがないと言われていますので、年間の長期休暇のみを使って結願したいと思います。

立江寺の朝食(ご飯おかわり自由)

僕が6時に食堂へ行くと、1人分のお膳だけが置かれていました。食事を作ってくれたおばちゃんに聞くと、同宿の看護女子はすでに朝食を済ませて出発したそうです。そういえば昨夜、立江駅から電車に乗って鶴林寺へ向かうと言っていたのを思い出しました。

今日はどこまで行くつもりなのだろう。歩きなら22番平等寺までが関の山ですが、電車ならもっと先まで行けるでしょう。

立江寺宿坊の玄関より

今日は“阿波三大難所”とも言われる鶴林寺、太龍寺を回ります。難所たるゆえんはもちろん、山の上にあるからです。

第20番札所 鶴林寺

赤いのに白鷺橋

立江寺を出て、行基菩薩(668年 – 749年)が白鷺に暗示をうけたと伝わる白鷺橋を渡ります。

鶴林寺まで14km

明日でいったんお遍路が終わります。行程の進み具合によってその日の宿を決めたりしていますが、それよりも一番心配だったのが東京へ帰るためのバスの予約でした。今朝、東京へ帰るバスの予約をしてから出発しました。

徳島県道28号線を歩く

なるべく行ける所まで行きたいというのもあって、その日の宿を決められるのは毎回お昼ごろになってしまいます。泊まる宿の方々には、急な対応をさせることになるので申し訳ないと思っています。しかし、徳島の方々は慣れているのか、宿の方に「もっと早く予約して」などと文句を言われたことがありません。

県道22号線との合流地点

右に行けば鶴林寺、左に行けば太龍寺。もちろん右へ。

今日はさらにその先の平等寺まで進めれば御の字です。それでも、32.2kmの行程ですから、大変は大変ですよ。しかも上り下りがあるので、少し不安。

山肌がむき出しになっている

平等寺近くの、『山茶花さざんか』という宿に電話予約をしたところOKとのこと。平等寺の山門のすぐ横の立地のようです。

県道16号線を歩く

9:30、気温28℃。ザックが肩に食い込んでくることを除けば、比較的清々しい朝です。遠方の景色を滋養に、県道をたらいまわされながら進むと、賑わっている道の駅が見えてきました。

道の駅 ひなの里 かつうら

この道の駅の裏手から、鶴林寺への登りが始まるようです。水分の準備をしっかり整えましょう。

お遍路さん休憩所

駐車場には円形の遍路小屋があります。『ヘンロ小屋第11号 勝浦』という名前が付いています。中にはきれいな毛布がセットされていました。ボランティアの方々の好意によって管理されているとのことです。

 お遍路POINT その16
ヘンロ小屋は、お遍路さんをもてなす「お接待」の一環として始まったボランティア活動『四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト』によるものです。のちのち、僕もヘンロ小屋のお世話になることに…。

マットレスや毛布も完備されている

道の駅の横に、東とくしま農協の『よってネ市』という直売所が併設されています。というわけで、ここで少し早いランチタイムとします。

にぎり寿司2品を購入

あえて、初めて聞く名前の寿司ネタを購入してみました。『本よこ』とはクロマグロの子供らしいです。

『本よこ&かんぱち』と『ボーゼ』

『ボーゼ』はエボダイ(イボダイ)とも呼ばれ、こちらでは酢でしめた姿寿司で食べられることが多いのだそう。

グリコーゲンも貯蔵できたところで、鶴林寺に向けて11時に道の駅を出発。

車遍路道とは別れる

おっ、今日の宿の看板を発見!

山茶花の宿

大川栄策が経営しているのかな。平等寺へ8秒8歩とのこと。

勾配もきつくなり、一気に山道の様相

弘法大師が水を噴き出させた『水呑大師』という湧き水ポイントがあり、ここが中間地点のようです。「地面を杖で一突きしたら、水が湧いてきた」という伝説が由来とか。いま同じことをやったら、水道管破裂魔として御用ですね。

展望案内板

途中にあった案内板を見て、あまりの道のりの長さに愕然としました。だって、少なくともあそこの川(那賀川)まで降りてから、また同じくらい登るってことですから。

実際の展望

さきほどの水呑大師でのことですが、ちょうどそこにベンチがあり、座っていたベテランおじさんお遍路さんとお話をしました。おじさんは大病を経験しながらも、回り続けていると言いました。するといきなり、「煩悩とは何だと思う?」と聞いてきました。僕が「やましい心みたいなことですか?」と言うと、「違う。煩悩とは人と比べること」と答えたのです。

つまり、「自分よりあいつは秀でているんじゃないか」とか、「あのお遍路さんを追い抜いてやろう」とか思う気持ちがおじさんの言う煩悩で、それが成長の妨げになるのじゃ…的なことをこんこんと教えてくれました。

建物が見える

お遍路では人間の煩悩の数は88と言われ、88の寺を回ることでひとつひとつ消して行くという意味合いもあるのだそうですよ。

お話も長くなってきたので、僕が良く使う「ありがとうございます。頑張ります。」で締めようとすると、「頑張ったらアカン、無理をするというのは…」とツッコまれて、なかなか締まらなかったです。「頑張ります」は、絶対言ってしまいますよね。「なるほど、わかりました」って言うのもおかしいですし。

鶴林寺駐車場のトイレ

水分は汗で出ていくから、遍路道のトイレを使った記憶がほぼありません。

道の駅を出て1時間ちょっと、意外なほど早く着きました。道のりとしては恩山寺の時と印象が重なります。水呑大師のあたりで、少しキツイなと思いました。

ひえっ、電気牧柵があるのかよ…

境内の苔がきれいだなーと撮影に興じて、あやうく感電死するところでした。

鶴林寺 三重塔

三重塔は、和様・唐様と各層で様式が違うらしいですよ。

本堂への階段

鶴林寺の本尊は地蔵菩薩です。

鶴林寺 本堂

寺名の由来は、金の地蔵菩薩像を守護していた雌雄の鶴であると言われています。

お鶴

おそらく、向かって右側がオスでしょうね。理由は、勢いよく鳴いているから。

さて、参拝を終えたら、体力のあるうちに、間髪入れずに進むしかありません。

やはり川まで下りるのか…

ここを出た瞬間から、太龍寺への挑戦が始まる。ドラクエで言えば、ハーゴン倒した直後にシドーが出てきた時のような感覚でしょうか。いい例えだ。

第21番札所 太龍寺

太龍寺まで6.68kmあるらしい

ちょうど鶴林寺を出る時に、水呑大師で会ったベテランおじさん遍路に再開しました。橋の手前に杖が置いてあるから、自由に持って行けよと言っていました。

下る下る

車道を突っ切りながら下っていきます。

また出た山茶花

大井小学校のトイレは、使ってもいいらしい

さきほどの展望場所から見えた、川の手前の民家の辺りまで下りてきました。県道に出ると、右が太龍寺道、左が大井小学校トイレと案内があります。

徳島県道19号線

大井小学校まで行ってみましょう。

大井小学校グラウンド

阿南市立大井小学校は、現在休校中だそうです。一夜の雨露しのぎに、グラウンドを利用するお遍路さんもいるのだとか。トイレの掃除・管理をしているのは地元の方々、“使う前よりきれいに”を心掛けたいものです。

校舎

「いい雰囲気だなあ」と浸りたいところですが、太龍寺越えが控えているので気がはやります。

神光本宮

植物に支配されたような宗教施設を過ぎると、太龍寺前最後の自販機が見えてきます。自販機の前には、まっすぐ水井橋が伸びています。

水井橋手前の自販機で飲み物を買って行くといいだろう

この県道は太龍寺ロープウェイ下までつながっているようです。ただ7kmあるようですので、歩き遍路は橋を通って太龍寺を目指す方が結果的に早く着きそうです。

水井橋

お茶を買って飲んでいると、地元の親父さんが通りかかりました。あと1時間も歩けば太龍寺に着くとのことです。

水井橋から鶴林寺方面を仰ぎ見る

さっき見下ろしていた展望場所はどこらへんかな。

杖を借りていけるポイントあり

ベテランおじさん遍路が言っていた、杖のある場所に来ました。扱いに困るので、借りて行かないことにしました。

上る上る

なんか博士と子供4人くらいのパーティが昆虫採集をしてました。このあたりの若杉山遺跡はその昔、縄文土器に使われる顔料である辰砂(しんしゃ)が生産されていたようです。

安正攵四年のお墓?

『安正攵』との表記があります。これが、あの『安政』年間の事だとしたら、幕末に亡くなった方のお墓ということになりますでしょうか。

仁王門が見えているのに、あと0.4kmの表示

太龍寺 仁王門

こちらは仁王門らしいのですが、ここから本堂までは長い参道があるようです。

右方向に鶴林寺

右方向を見ると、鶴林寺が。

鶴林寺の三重塔らしき建物

鶴林寺からアップダウンすること6.5km、ちょうど2時間かかりました。阿波霊場三難所をこれで攻略!

境内の巨木が歴史を感じさせる寺だ

なんだこの寺は、何気なく生えてる木がデカいぞ。

この先ロープウェイのりば

太龍寺と言えばロープウェイです。これに乗って降りたいのはやまやまですが、降りた地点から平等寺に向かうと遠回りになるのです。体力の事を考えると、断念せざるをえません。

その代わりに、激カワの干支おみくじを引く。

激カワ…

干支12種類のおみくじが並んでいました。今回僕が選んだのは寅です。

中におみくじが詰まっている

寅年生まれではないのですが、なんか良かったので購入。あれ、こういうの自分の干支じゃなければダメなシステムでしたっけ?

末吉

このあとさっそく、15年くらい使っていたタオルを失くしました。冗談抜きです。時がたたないと出てこないそうです…。黄色いタオルです。関係者の方、もし見つかったら連絡いただけますでしょうか?よろしくお願いいたします!

第22番札所 平等寺

平等寺までの距離は11.7kmです。ロープウェイ方面ではなく、通ってきた参道を戻ります。

太龍寺を出てすぐの分岐

見えづらいですが、通ってきた道が左にあり、もちろん鶴林寺に通じる道です。まっすぐの道は『かも道』と呼ばれ、一宿寺への道です。この道では平等寺へは着かないそうです。「現在路面状態が悪いので、1人では歩かないでください」との旨を、鶴林寺の看板でも案内していました。絶対行くなよ!

平等寺へは道しるべ通り右へ進んでください。

平等寺へ向かってどんどん下る

1kmくらい下ったところに黒河駐車場があります。ロープウェイを使わない人は、ここに車を置くんでしょうね。公衆トイレもあり、そのすぐ脇には“龍山の湧水”なる看板が。

ポリバケツに注がれる龍山の湧水

口にしても良いのか迷うシチュエーション。

下る下る

登ってくる人へ向けて、「この先にロープウエイはありません」

たまに、車やバイクとすれ違います。もし車同士鉢合わせたら、すれ違うのに苦労しそうな道幅です。

民宿 坂口屋(撮影時休業中)

坂口屋という民宿まで下りてきました。ここでも、ロープウェイがこの先ないことを告知しています。

徳島県道28号線に合流

あとで考えると、ロープウェイに乗りたかった気持ちが増幅しています。一回乗って降りてから、またすぐ乗って上がってくれば問題なかったのではないかと思います。乗れば良かったなぁと後悔。

平等寺まで7.2km

僕の持ってるスマートフォンは、今日はずっと電波が拾えない状況が続いています。でも、道しるべを信じて進めば大丈夫です。

激怒やん

国道192号線に合流、平等寺へはガソリンスタンドを左折

左に6.3km進むと平等寺、右に200m進むと道の駅があるとの表示。現在時刻は16:45。納経所は17時までしか開いていませんので、本日中の平等寺の納経はあきらめまして、ちょっと道の駅に立ち寄り。

道の駅 わじき

道の駅 わじきの名物は、ナカ鹿丼とのこと。ガッツリ系のめちゃくちゃウマそうな鹿肉丼だったんですけど、山茶花の夕食が待っているのでパスしました。

ガチャガチャ発見

僕が子供の頃は、こういうガチャガチャに異様にそそられましたよ。いま見るとしょっぱい感じだなー。

昭和の匂いがするガチャガチャだ

さて、平等寺に向けて出発。『道の宿 そわか』は、太龍寺ロープウェイ山麓駅の横にあるらしい。

道の宿 そわか の看板

阿瀬比トンネルを通過中、マウスパッドを発見。

ここに捨てる意図がわかりません。しかも3Dマウスパッド。

阿瀬比トンネル

トンネルを出てからが、長く感じました。足の踏み場が無いほど干からびたミミズが落ちているポイントがあったり、橋の欄干が腰より低いのに歩道がとても狭いところがあったりなど、いろんな意味で疲れました。

日もずいぶんと傾いた

もしタクシーが横を通ったら、迷わず手をあげて止めてしまいそうな精神状態でした。この最後の6.2kmは、徳島に来て一番過酷だったかもしれません。“一に焼山、二にお鶴、三に太龍”に、“四に平等”を加えたいくらいです。

平等寺手前のたこ焼き屋

あと徳島って、たこ焼き小屋が多くありませんか?しかも、「えっ、ココ?」ってところにぽつねんと。

今日の宿の山茶花の前を一旦通過し、ようやく平等寺に到着しました。本当に『8秒8歩』の距離でした。

平等寺山門

時刻は18:15、太龍寺を出てから3時間ほどで着きました。山茶花にチェックインすると、夕食の席についている人や洗濯している人が数名見えました。その中には、立江寺で同宿だった看護女子の姿も。

僕は隣に建っている新館の部屋に案内されました。新館は本館より500円upの7,000円です。

小上がりみたいなつくりの部屋

部屋に入ると、まず電気ポットのお湯が沸いていることに驚きました。さらに、ピッチャーの水には氷が入っていて、おもてなし精神がハンパじゃない。

部屋の中に風呂とトイレがついている

映っていませんが、部屋の中に洗面台もあります。洗濯だけは本館に出向く必要があります。

すでに風呂が沸いていた!

もちろんクーラーもテレビも完備しています。何不自由なく過ごせるので、お遍路中であることを忘れてしまいそうです。風呂に入ってから本館の食堂へ行ったとき、男性3人が食事をしていました。みなさん歩き遍路らしい。

山茶花の夕食(鯛の尾頭付き・カンパチの刺身・ずいき漬物 他)

3人とも歩くペースがほぼ同じで、そのため毎日同じ宿に泊まっているらしいのですが、元は別々に回っていたお遍路同士。話によると、20代~50代とのことです。そこに看護女子も加わり、話題が『すだち館にいた怪僧』の話に。

すると3人のテンションが一気に上がります。なぜなら3人もすだち館に泊まっていて、その坊さんを見ていたからです。「あんなのヒーリングじゃなく、完全なインチキ」とか、「男手として営業を助けるならまだしも、居座り続けててご夫婦が気の毒」とか、「みんな見てておかしいと思ってたよ」とか、「僧侶かどうかもあやしい」とか、出るわ出るわ怒りの声。

結局一番盛り上がったのが怪僧の話でしたが、おかみさんも飾らないし、宿も快適だし、徳島最後の夜はとても楽しいものになりました。

ライトアップされた、夜の平等寺を撮影しておきます。中に入るのは明日にしておきましょう。

徳島のお遍路もいよいよ明日で終わり。そういえば、徳島では明日からいよいよ阿波おどりが始まるのでした。

明日も暑いのか

阿波踊りを代表する曲の一つ『阿波よしこの』には、“踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々”という有名な一節があります。せっかく徳島まで来ているのに見ない僕はもっと阿呆だと思いますが、これも巡り合わせ、しょうがありません。受け入れましょう。

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