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下山は大砂走り!“健脚向け”富士山『御殿場ルート』を登る
富士山の主要4ルートの中でも、五合目の標高が一番低い『御殿場ルート』。健脚向けと言われるルートですが、ふもとの傾斜はゆるやかで、雄大な富士山を広い視界で堪能できます。また、走って下山できる『大砂走り』などダイナミックな魅力がいっぱいです。今回、一泊二日の日程で登りましたのでレポートします。
登山データ
ルート | 御殿場口新五合目 ~ 剣ヶ峰 ~ 大砂走り ~ 御殿場口新五合目 |
登山時期 | 2017年7月中旬 |
かかった時間 | 登り:9時間13分下り:3時間19分 |
最低標高地点 | 御殿場口新五合目 <1,450m> |
最高標高地点 | 剣ヶ峰 <3,776m> |
標高差 | 約2,326m |
総歩行距離 | 約19.9km |
※標高、歩行距離は目安とお考え下さい
コースタイム
1日目
- 8:18 御殿場口新五合目 <1,450m>
- 8:30 大石茶屋 <1,520m>
- 9:23 次郎坊 <1,920m>
- 11:30 新六合目 六合目小屋(閉館中) <2,590m>
- 12:50 六合目 <2,830m>
- 13:45 七合目 日の出館(閉館中) <3,030m>
- 15:20 赤岩八合館到着 <3,290m>
2日目
- 5:44 赤岩八合館出発
- 6:01 八合目 見晴館(閉館中) <3,400m>
- 7:22 御殿場ルート山頂 <3,700m>
- 7:55 剣ヶ峰 <3,776m>
- 8:39 下山開始
- 9:52 大砂走り <3,020m>
- 10:05 下り六合 <2,767m>
- 11:12 大石茶屋 <1,520m>
- 11:58 御殿場口新五合目 <1,450m>
忙しい人のための『10分で登る富士山』
ダイジェストにしましたので、時間の無い人はこちらをご覧になって、登った気になって下さい。
詳細レポート
先述のように、登山口のある五合目の標高が他のルートより低いため、登頂するのにはある程度の体力が必要です。しかし、登山客自体も少ないので、マイペースで登れるという長所があるのです。混み合う登山道ほどストレスを感じるものはありませんからね!
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まずは、静岡県のJR御殿場駅からスタートです。JR新宿駅からだとバス1本。
僕は、ここから御殿場口新五合目までバスを利用します。車の方なら、東名高速道路の富士インターチェンジ、または御殿場インターチェンジを降り、一般道経由で向かうことになります。ちなみに、御殿場口新五合目までの道は夏でもマイカー規制がなく、駐車場は無料で利用できます。
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7:35発の始発に乗車。徐々に高度を上げながら、30~40分ほどでバスは御殿場口新五合目へ。
御殿場口新五合目 <1,450m>
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御殿場口新五合目に到着。
1/2と書いて『ハーフマウンテン』と読むお土産屋さん。パンやカップ焼きそばなどの食料も販売していますが、営業は9時からのようです。店頭の自販機は利用可能。ペットボトル260円という中途半端な価格。
駐車場から富士山がばっちりと見えますね。
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無料の循環式水洗トイレがあります。すぐ上の大石茶屋以降は、七合目までトイレが無いそうです。
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案内板でルート確認したら、いよいよ登山スタートです。
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その前に特設受付で、富士山保全協力金の1,000円を支払います。しおりと御殿場ルート版の協力者証(缶バッジ)をゲット。
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鳥居をくぐる時はいつも神聖な気持ちになります。
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缶バッジもそうですけど、御殿場ルートのイメージカラーは緑なんですね。山頂までは10.5km。本日は八合目手前の山小屋に宿泊予定なので、8kmくらいでしょうか。
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走っている人がいますね。ランニングウェアで行き来する人の姿をたびたび見かけます。
ほどなく大石茶屋に到着。「富士山だけはツエが絶対必要」との文言。僕はストック(トレッキング・ポール)を持ってきていないので、無事下山できたら、全力でツッコミたいと思います。
大石茶屋 <1,520m>
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チェックポイントとして名を残すだけの『吉田口登山道の大石茶屋』とは別物で、こちらはばりばり営業中です。
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五合目駐車場がもうあんな遠くに。奥に望むのは箱根の山々でしょうか。
コーラが300円になりました。標高は100m上がっていないのに、40円値上がりしました。
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大石茶屋の敷地を必ず通るようになっています。コノ商売上手~。
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登りは左を通ります。一度は下山道と分かれますが、次郎坊という地点で再び合流します。
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下りてくる人たちが休んでいます。
富士山が国立公園だと意識して登ることはあまりありませんね。腰より高い植物は、見当たらなくなってきました。こちらは、他の登山道でもよく見かける『イタドリ』。
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一本道が続きます。数キロ先も見通しながら登れるのが、御殿場ルートの良さ。
左を向けば二ツ塚が見えます。人がいる。
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このようなガイドポストが一定間隔で立っているので、登山道から外れてしまうことはありません。まだ標高が低いので汗ばんできます。
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下山道で下るブルドーザー。
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道がクロスしています。縦のラインが下山道、横のラインがブル道のようです。
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左に今度は宝永山が見えてきました。右へと伸びるのが、『馬の背』と呼ばれる尾根ですね。
もうすぐ次郎坊。入山時にもらったしおりによると、こちらは『フジアザミ』という植物のよう。イタドリと2大巨頭。
次郎坊 <1,920m>
間違えてブル道に入らないよう、ガイドポストに沿って進みましょう。
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ここで登山道と下山道が交差して、登山道が右、下山道が左となります。
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若干、霧が立ち込めてきました。
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雨が降ってきたので、ザックカバーを装着しましたが、すぐに止みました。
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標高2,000mを通過。
眼下には二ツ塚上塚(中央)と下塚(左)が見えます。
アップにすると、登ってくる人たちがジオラマのように見えます。
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おっと、小屋が見えてきました。
新六合目 六合目小屋 閉館中 <2,590m>
スタートして3時間で、新六合目までやってきました。
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六合目小屋らしいのですが、休業しているようです。トイレもなし。
霧が晴れてきました。汗で濡れていたウェアも乾いてきました。
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道端に腰を下ろして、あせらずに登りましょう。
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休憩されていたご夫婦が教えてくれました。はるか上を指さして、日本国旗が立っているところがわらじ館だと。
わらじ館は七合四勺にある山小屋です。
六合目 <2,830m>
六合目に着きました。何にも無し!
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錆びた鉄管のようなものがあるだけです。もちろんトイレなし。ここは『プリンスルート』との合流点でもあります。
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プリンスルートは、富士宮ルートから宝永山を経由し、御殿場ルートに合流して山頂を目指すルートです。皇太子殿下(徳仁親王)が利用したことから、そのような通称が付いたようです。右が登山道で、左が宝永山へと続く道(プリンスルートの一部)です。
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ここまで来てしまえば、本日宿泊予定である七合九勺の赤岩八合館までは時間の問題です。
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大きい岩の向こうに、次の山小屋が見えます。
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下山の人が下りてこない登り専用道ではありますが、それにしても空いていますね。
標高3,000mを通過。依然、歩きやすい道が続きます。
『大砂走り』の入口に着きました。いわゆる下山道はここから始まります。ここから上のエリアは、登りと下りが共用となっています。そうはいっても全然混まないですので、ストレスなく登れます。
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そして七合目が目前です。
七合目 日の出館(閉館中) <3,030m>
日の出館やってません。もちろんトイレも使えません。どうやら、近年は休業しているようです。
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大石茶屋を過ぎてから、飲み物を買える小屋がなく、トイレも全くありません。「体力は問題ないけど、そちらが心配」という人が多いかもしれません。
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おお、日の丸が近くなってきました。
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土の色が赤みを帯びてきました。七合四勺のわらじ館に到着です。
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飲み物…買えます!
食べ物…買えます!
トイレ…使えます!(300円)
スノーボードがベンチになっています(笑)。ここからは山小屋が連なっています。聖闘士星矢の十二宮(サンクチュアリ)のようです。
上には砂走館、下には日の出館(閉館中)が確認できます。もう少しうまい具合に山小屋を散らしてほしいかな。
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七合五勺の砂走館を通過。赤岩八合館と姉妹館だそうです。
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火山観測局を通過。国土を火山災害から守るための、重要な施設らしいです。
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赤岩八合館は、小屋名の通り赤い地層に建てられています。富士山には実際はいろんな色の石が落ちているけれど、離れると青く見えるのが不思議ですね。
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8.9kmも登ってきましたか。
赤岩八合館到着 <3,290m>
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本日の宿に着きました。ここまで約7時間かかりました。
小屋に入る前に、体に付いた砂を落とします。
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ウェルカムドリンクがうれしい。
2段式の寝床の下段に案内されました。
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うなぎの寝床とはこのことかな。自分のスペースは幅2mくらいではありますが、山小屋の雰囲気を味わっていると考えれば楽しいものです。
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夕食はカレーです。赤岩八合館のカレーは、宿泊者から評判がいいらしいです。おかわり自由。
スタッフの方が言うには、カレーに使っている野菜もすべて自家栽培なんだとか。
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お茶もおかわりできます。富士山の山小屋での食事にお茶が付くことはありますが、2杯目が100円だったりするので、こちらのサービスの良さに驚きました。
夕食が終わったころから、雲行きがあやしくなっていたのですが、雷が鳴ってひょうが降ってきました。珍しいらしい。
けれど、夜には晴れてすっかり解けてました。御殿場市街の夜景がよく見えます。
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いまだ雷がゴロゴロしているのが気がかりです。
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なお宿泊者はトイレは使い放題です。
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登山者の少ない御殿場ルートではありますが、御来光の時間帯には山頂付近は混雑するとのこと。天気次第ではありますが、明朝は混雑回避のため御来光はここで見ることにします。
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21:00 消灯。