両神山の日向大谷と白井差を登って比較した
埼玉県の秩父地方にある両神山【りょうかみさん:標高1,723m】に登ってきました。誰もが知ってる山かと言われればそうではないかもしれませんが、両神山はれっきとした百名山なんです。調べたところ両神山には4つの登山口があるらしく、鎖場や露岩、中には私有地のコースもあるとのこと。今回は日向大谷口と白井差口を登ってみました。長瀞もいいけど両神山もね。
↓こちらのページの地図がわかりやすく、雰囲気がつかみやすいかもしれません。
秩父多摩甲斐国立公園 安全登山マップ(両神山・雲取山) – 埼玉県より
日向大谷口
では早速レポートをしていきたいのですが、登山口に着かなければ話が始まりません。しかしこの山、お世辞にもアクセスが良いとは言えません。古来より修験道として受け継がれてきた山だけに、そう簡単に着かないのが逆に有難いのかもしれませんが、なるべく楽にたどり着きたいものです。さらに安ければなお良いですよね。
東京から電車で向かう場合、やはり西武鉄道を使うことになろうかと思います。今回は西武新宿から西武秩父なので最長経路かと思われます。(違ったらすいません)
ここで金券ショップの出番です。これが株主優待で正規運賃780円が550円に。新宿寄ったついでに買っておきました。浮いたお金で名物でも食べることにしましょう。
それでは西武新宿駅からレポートをスタートします。
ざわめく街から離れる西武新宿線急行・本川越行。
西武池袋線準急、西武池袋線と乗り継ぎ西武秩父へ。名前の通り、西武蔵野の雑木林を腐るほど見ながら電車に揺られます。
西武秩父駅の仲見世通りを通って秩父鉄道・御花畑駅に向かいます。5分くらい。
御花畑駅に花畑はなかった。
秩父鉄道はSuica・PASMOが使えなくて、自動改札機さえない懐古的な私鉄。だがそれがいい。券売機で三峰口までの券を購入します。
ここにきてようやく登山者がちらほら。車で行く山なのか、そもそも登山者の少ない山なのか。
三峰口駅に着きました、いい駅。ただ『鉄道むすめ』に関して、年配の利用者の反応が知りたい。こういうコラボはアリなんですね。
気付けばここは秩父盆地の最奥。今回は日向大谷口、いわゆる表参道から登ります。ここから小鹿野町営バス日向大谷・三峰口線で日向大谷口停留所へ向かいます。乗車時間53分を2分半にまとめてみました。
1:45あたりの、地元の人に運転手さんが挨拶するところなんて最高だと思いませんか?
というわけで日向大谷口到着。標高は656m。
両神山日向大谷登山口。
30mほど上がると両神山荘があります。缶ジュースとか売ってます。
入山時にカウンターを押す様になっています。本日何人入山しているか見たかったんですが、うしろから人が迫ってたんで帰りに見ることにします。
トラバース。さっそく30cmくらいのヘビが出てきました。スピードが速すぎて写真に収めるには至りませんでした。
両神山は仏像が多いらしいので楽しみですね。どんなご尊顔で迎えてくれるのでしょうか。
序盤から道が細くて、バランス崩したら滑落する恐れがあります。
さっそく最初の鎖場です。
鎖が切れた時のために、もう片方の手は岩を掴めるようにしておきたいところです。
最初の鎖場から10分ほどの所に会所と呼ばれる分岐点があります。右側(山側)が七滝沢コースで、先で再び合流します。しかし事故多発の難コースのようで、滑落死も起きています。今回は初めてなので、このまま左の表参道を進みます。
と言っても両神山自体、山岳事故の多い山です。表参道でもリアルに死の危険を感じる場所が多数あります。
怒ってますわ、不動明王様。煩悩まみれで救いようのない僕らでさえも、不動明王様は憤激の表情で導いてくれるんだとか。
丸太の上で力尽き、靴底だけが残ったと思われます。ちなみに、この川を渡るために丸太が架けられているという訳じゃありませんので、安心してください。
仏像の類はないのですが、『廿八丁目 虚空蔵童子』と彫ってある石があります。どうやらこれは三十六童子と呼ばれるもののようで、不動明王の眷属(けんぞく:神の使いや神と特別な関係のある動物のこと)としての存在らしいです。
いきなり28番目かよと思いましたか?僕は基本的に注意力散漫なので、こちらともう一体ぐらいしか見つけることは出来ませんでした。ですが基本的には、これをたどって行けば清滝小屋に着くそうです。清滝小屋とはコースの2/3地点にある山小屋です。
鎖が通ってないペグ。
白藤の滝への分岐がありますが、15:10のバス出発時刻までには日向大谷口に戻りたいので今回は見送ります。(この時点で11:45)
「つらさを忘れることも大事ですよ。」
清滝小屋の三角屋根が見えてきました。
清滝小屋。現在は無人の避難小屋として使用されている模様。
勝手に泊まってっても良いそうですよ。ここに泊まる予定の人とも会いました。ただし火気の使用は厳禁です。
先へ進みます。
清滝小屋の裏の鈴が坂で七滝沢コースと合流します。
徐々に岩場が多くなってきました。
横岩と呼ばれる岩の裏にひっそりたたずむ、恐怖のメルヘンきのこ・ベニテングダケ(毒)。
茶色と緑色の山道をひたすら歩いてきているので、こんな怪しい色をしたキノコでさえも一服の清涼剤になります。たとえ毒があっても。
そんなこんなで、山頂にほど近い両神神社の奥社に到着しました。
奥社とは本社(里宮とも)に比べて山頂側にある社殿のことを言うらしいです。ある神社の社殿が複数あり、それが離れている場合に使われる表現とのことです。勉強になりますねー。本社はふもとの両神山荘の脇にあります。
狛犬がつるつるしてます。風化?仕様?なんかゴワゴワしたのしか見たことなかったので新鮮です。この狛犬のモチーフはオオカミのようです。
どうやら秩父・武蔵地方の神社の眷属はオオカミが多く、それは日本武尊(ヤマトタケル)がこの辺りの山中道に迷った時にオオカミに助けられた伝説によるものらしいですよ。
社殿の中をのぞいてたら戸の貼り紙の存在に気付きました。
“見たな。”って書いてあったら怖すぎ。
ここから少し進むと両神御嶽神社の奥社があります。
こちらの狛犬もオオカミのようですね。
こっちにいたってはピンクパンサー!完全に笑わせに来てますやん。
両神御嶽神社の本社は、町営バス日向大谷・三峰口線の浦島口バス停で下車して徒歩30分の場所にあるそうです。
日本武尊が迷うのも頷けますね。そして最後の鎖場を登るとそこが山頂でした。
“奥社の奥社”が鎮座まします山頂は非常に狭いので、腰を下ろす場所を確保できた時はラッキー。
山頂部分は紅葉が始まってまして、ここだけ特別な領域のように感じます。
僕が無心で写真を撮っていると、山頂でお昼ご飯を食べていたグループに声をかけられました。
「三角点撮りますか?」
え?三角点に興味ないけど、そう言うなら撮っておきましょう。どこですか?「ここです。」
食卓に成り果てた三角点。
どきますって言ってくれたんですけど、“人の食卓を撮っている俺って…”の構図が良かったのでこのまま一枚。
大切にしましょう三角点。
おびただしい数の虫も、僕の登頂を祝うかのように湧いてくれました。ありがた迷惑。
帰りのバスに間に合わせるため、休憩もそこそこにして下山開始です。
白いキノコはシロタマゴテングタケ(猛毒)か、あるいはオオイチョウタケ(食用)。
こげ茶色のキノコはテングタケ(猛毒)か。同定不能。
いくぶん急いで、なんなら小走りで駆け下りてきたんですが、結局バスには間に合いませんでした。キノコぐらいしか撮らずに頑張ったんですけどね。
時間との戦いを止めた今、悔しさと安堵の中に僕はいます。
登山届ね、出しましょうね皆さん。
あ、そうそう。入山時に見損ねたカウンターはどうなっているでしょうか?
1834人。こんなにいるわけがない!
両神山荘まで戻ってきました。次のバスまでだいぶ時間があるので、ジュースを買って休憩させてもらうことにしました。
両神山荘看板犬のポチとポン。見張りに余念なし。
バス停まで下りてきて何気なく待っていたんですが、自販機の後ろにある張り紙を見て肝を冷やしました。
マムシ注意て!朝見たのはマムシだったかもしれません。自販機直しに来た人へ限定の警告か。
結局、一時間半位待って17:20のバスに乗りました。女の子3人グループがそろそろ降りてくるかもしれないということで、待ってあげることになりました。発車時刻を15分くらい過ぎた頃、そのガール達が降りてきました。乗客達に「おかえりー」と言われて、ガール達は恥ずかしそうにお礼をしていました。なんか和気あいあいとしてんな!
日向大谷を後にしながらドライバーさんが、「私有地の登山道もあるんだよ」と話していました。では、その“私有地の登山道”白井差コースにも行ってみましょう。
2014.9.21
お疲れさまでした、ハイキングサークルの者です。
ホルモン焼き美味しかった様で何よりでした、栃木の山へ来るような事がが有ったら声を掛けて下さい、日程が会えばご一緒&案内出来ると思います。
非常に見やすい、見た方が本当に参考になるブログですね。
haruさん
お疲れ様でした。読んでいただきありがとうございます!
栃木の山に行ったら、ぜひ周辺の名物も教えて下さい^^
参考にしてもらう為にはもっと聞きこまなきゃですね。
山中さんの世間話をスルーしてしまったのを後悔している僕です。