お遍路さんの休憩所であるヘンロ小屋に野宿してみた(第29号・多度津・おかのやま)
お遍路さんだったとき、どうしてもやりたいことがありました。ご朱印集め?いやいや、違います。その願望とは
“ヘンロ小屋に泊まってみたい!”
四国に来てから気付いたんですが、お遍路さんが歩く道にはいろんな休憩所があります。その中には『四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト』という名のもとに建てられたものがあります。
ヘンロ小屋あれこれ
『四国八十八ヶ所ヘンロ小屋プロジェクト』は、お遍路さんをもてなす「お接待」の一環として始まったボランティア活動とのことです。Webサイトによると、建築家の歌一洋さんという方が提唱したのが始まりだとか。
第45号 空海庵・切幡(徳島県阿波市)
僕が最初に意識した小屋。「ヘンロ小屋」と漢字ではなくカタカナを使っているのは、遍路に対する柔軟な感覚を表現しているそうです。
第11号 勝浦(徳島県勝浦郡勝浦町)
よってネ市の駐車場にあったうずまきタイプの小屋。
第4号 鉦打(徳島県阿南市)
平等寺から薬王寺に向かう間の小屋。国道沿いのためか、車通りが多い。
第39号 NASA(徳島県海部郡海陽町)
変な形の小屋。テントが張られていたな。
第54号 四万十(高知県四万十市)
四万十川近くののどかな小屋。
第33号 宿毛(高知県宿毛市)
高知と愛媛の県境に近い小屋。
第41号 今治・日高(愛媛県今治市)
福祉施設の前に建てられた小屋。ここでの野宿は遠慮した方がいいだろう。
第23号 仙遊寺接待所(愛媛県今治市)
仙遊寺の少し麓の小屋。
第51号 五色台子どもおもてなし処(香川県高松市)
ロッジのような2階建てで、子どもたちがお接待をしてくれる珍しい小屋。「お遍路さんに泊まってほしい」と、敷地の所有者の方が提供をされたそう。
僕はこういった様々なヘンロ小屋を目にするうちに、ここで一夜を明かすことに意味があるのではないかと思うようになったのです。
ここに泊まりました
2017/4/30宿泊
そんな折、「今日でしょ、泊まるなら」みたいな日がありました。(どんな日だ)
その日はどうしても近場で宿が見つけられず、ちょっと困っていたのです。香川の甲山寺を打ち終えたあとでした。
僕が一晩軒をお借りしたのは、ヘンロ小屋『第29号 多度津・おかのやま』(香川県仲多度郡多度津町)です。
道路沿いですが小高い場所の上に建てられており、通りすがりの人からは見えにくくなっています。
そもそも歩いている人の数が少ないんですけどね。やることがないので、夕方19時ごろから就寝準備です。
寝ながら天井を見つめていると、梁に小屋建設に尽力したらしき人々の名前が書かれているのに気づきました。行政が一朝一夕で作った感じでは無いような印象です。
ゴールデンウィークの時期だったので、寒くも暑くもなかったです。横になっていると人の声が通り過ぎていくのを感じます。まさか小屋で人が寝ているとは思っていないでしょうね。
NHK松山放送局のラジオ番組を聴く。テーマは『温泉と日本人の長い歴史』。まどろみながら聴くアナウンサーの声はすこぶる穏やかでした。夜中、風の音で何度か目が覚めましたが、それも心地いいような不思議な体験でした。
ヘンロ小屋で野宿をしていいかは、各小屋の状況によるかもしれません。休憩・仮眠はOKとのことですが、あくまでも地域の中にある施設であることを忘れずに利用させていただきたいものですね。
ヘンロ小屋多度津おかのやまにお立ち寄りありがとうございます。地元自治会の皆様の手で管理されています。