与うる人々 | ジジイの氷割り

与うる人々

 2015/04/04

最近、テレビでネタ番組を見なくなりました。決められた台詞を話していると思うと、妙に冷めてしまうのです。どちらかというとトーク番組を好んで見ています。突然のネタ振りに対して“予想外の”返しが出来る芸人さんに、笑い、尊敬の念を抱く自分がいます。

それは普段の生活でも同じことで、“自分が絶対にしない”行動をとる人の事が気になり、何かを期待してしまいます。


その昔、仲間5人で旅行をわいわいと計画していた時の事です。メンバーの一人であるAがこっそりと僕に『旅行中、絶対Bさん自分勝手な行動しますよ』と不安を口にしました。僕はBに対して真面目な印象こそあれ、和を乱すような事はしないと考えていました。いや、むしろAこそ変わり者だと思っていました。『○○さんは服とか透視できるらしいよ』と言うと、Aは本気で信じてしまう人間なのです。僕は『考え過ぎだよ』と言いました。

そして楽しいはずの旅行で、事件は起こりました。次の電車を待つ間、僕達は近場のマクドナルドで時間をつぶそうということになりました。そんな中、Bが『観光なんだからマックはやめようや』と異議を唱え出したのです。Bはこだわる人間だったのです。旅も終盤、僕達は若干疲れていました。もちろんBも疲れていたでしょう。Bが真夜中に起きてお土産をガサガサと調べ出すことにも僕達は苛立っていたが、ここで喧嘩をしてもしょうがないので、Bの希望をくんで皆で駅周辺の飲食店を探すことにしました。しかし結局見つからず、僕達は再びマクドナルドに戻って来たのです。あの時の、口も利かずハンバーガーを食べるBの表情は、今でも忘れられません。

それ以来、僕のAへの評価は変わり、奇人は変人を見抜くのだろうかと思ったものでした。しかし、AやBのような人達がいるからこそ、昔話に花が咲くと言うもの。こんな面白い存在になりたいと願うけれど、彼らを面白いと感じる以上は、彼らの領域には行けない。本気で透視を信じる心が無ければ、その境地には至れないのでしょうね。

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