はじめての四国八十八ヶ所霊場めぐり ~ “修行の道場” 高知編 7日目
高知県7日目 | 2016年9月24日 |
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金剛福寺の宿坊にて、7日目の朝を迎えました。徳島の発願から14日目です。実は高知に来る前に、帰りのバスの予約(愛媛県の八幡浜市から乗車)をしてました。ところが、全然そこまで行けないことが途中で判明。昨晩、急きょ別のバスを予約しました。
朝の勤行は6時から
眠い。、朝のお勤めに参加。まぁ、参加といってもお経と説話を聞いているだけです。宿泊者6人全員が出席していました。こちらは椅子に座るタイプのお勤めなので楽です。
宿坊の朝食
お勤めの流れで、揃って食堂に移動。朝食には女将特製のスムージーも出てきました。最近女将自身もよく飲んでいるらしい。
看板犬ミミ
宿泊客を癒してくれるコーギーのミミ。ツイッターもやっているようです。
広い食堂には朝日は差し込んでいた
部屋に戻って身支度をしてたら、すでに他の宿泊者は宿坊を出ていました。まだ7時半だというのに、遍路の朝は早いものだ。
金剛福寺を出立
1,100kmとも言われる遍路道。その中間である足摺岬の金剛福寺を出発。いよいよここから後半戦です。
「ひとつひとより力持ち」みたいな画風
とりあえずは、この足摺半島を戻り打ちとなります。こんな看板あったんだね。良い看板、気付かなかったよ。
ビジネスホテル南城
どうやら足摺岬から先の進み方には、いくつかのルートがあるようです。打ち戻りルート、海岸線に沿って西に向かうルート、あとは山の中を突っ切るルート。
以布利トンネル
絶対この道じゃなきゃダメというものではないようなのです。そうなると、自転車の僕はどうしても平坦な道を選んでしまうことになります。
国道321号線を北上
大岐中益野線という道に合流するあたりで小休止していると、地元のおばちゃんに「お遍路さん?」と声をかけられました。
お接待の果物
おばちゃんは、近くの無人販売ボックスの中から果物の詰まった袋を取り、僕にくれました。家で生ったというグァバだそう。おばちゃんが一袋100円で売っていたものです。どんな味かというと、「南国梨(なんごくなし)」って和名がありそうな味ですかね。何年後かにグァバを食べたら、この光景が思い出されたらうれしい。
民宿 久百々
金剛福寺でご一緒した母娘は、前日に民宿 久百々に泊まったと言っていました。
民宿 久百々前
民宿 久百々から8kmほど進むと、大きな水車が見えてきます。その前には、ドライブイン水車と書かれた建物。
ドライブイン水車
立ち寄らなかったので、営業しているのかどうかは不明。このすぐ先で道が分岐しています。
高知県道346号線への分岐
右が昨日通って来た道で、僕が進むのは左の県道346号線。ジョン万次郎の看板が目印です。
三原村へ
三原村は、”山あいの集落”という言葉がぴったりの雰囲気です。
三原村の真念石
四国遍路中興の祖と伝えられる『真念法師』の標石。道しるべには右に行けば延光寺にたどり着くように書かれていますが、自転車が通るにはあまりにも頼りない道だったのでやめときます。昔の人と同じ道を通りたいお遍路さんは、この真念さんの道しるべをたどるといいかもしれないですね。
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さて、直進(と言っても大いに蛇行していますが)すると、またもや右へと誘導する遍路道の立て札があります。
延光寺へ約13.1km
車も通る遍路道なので、ここは通ることにします。お遍路さんが通る道には3種類あると僕は考えています。一つは真念さんが示すような古くからの道。二つ目はそれとは真反対の、車遍路が通るような整備されたような道。そして三つ目が、その中間の道です。二つのいいところを取ったような、悪く言えば“打算的な道”です。
宿毛市へ
「ショートカットできそうだな」
「山道だから自転車無理だな」
その時々で打算をして進む道、それが三つ目の道です。一度でいいので、打算せずに真念さんの道をたどってみたいですね。体力的にはきついかもしれないけど、精神的には楽そう。
三原村を抜け宿毛市に入ると、湖のような場所に出ました。中筋川ダムです。
中筋川ダム
クロレラでも培養してるのかよ。
法面工事中
片側通行用の仮設信号機。そういえば、歩きのお遍路さんを全然見ていない気がします。不人気ルートだったか。
宿毛市平田
1日ぶりに市街地に戻ってきました。国道56号線も久しぶりです。
延光寺までは微妙に登り坂
いよいよ、高知県最後のお寺に着きました。
延光寺 山門前
お遍路さんの姿も、ここまで来ればちらほら。バス遍路の団体さんもいるようです。
三十九番 延光寺! pic.twitter.com/sRepvzNbhG
— ちょうちょう (@icedivider) 2016年9月24日
自転車を向かいのスペースに停めようとすると、近所の犬がめちゃくちゃ吠えてきました。親の仇かっていうくらい吠えるので、さっさと延光寺に避難。解き放たれてたら、今日が命日になるレベルでした。
延光寺 仁王門
仁王門を入ってまず目にするのは、鐘を背負ったこの亀の像です。
大赤亀の石像
延光寺には、亀にまつわる伝説があるみたいです。なんでも、僧たちが謎の銅鐘を背負った赤亀を見つけて、これを寺に奉納。
銅鐘まで再現されている
それを機会に山号も『赤亀山』に改めちゃったというのですから、その出来事が与えた驚きが尋常ではなかったのは想像に難くありません。それが事実かどうかは別として。
本堂前にて団体遍路による般若心経
団体さんによる般若心経の大合唱は、四国八十八ヶ所でよく見られる光景です。今回その撮影に成功しました。
延光寺 本堂
団体さんは読経を終えると、まるで後ろ髪を引かれることなく、カラフルな金剛杖を突いてバスに戻りました。
延光寺 大師堂
いつだってそう。「観光やないんやで」といった感じで、次の寺へと向かうのです。しかし、杖の意味よ。
納経完了
お寺の前に無人販売があったので、超絶クールなせんべいを買いました。
大師せんべい 250円
さて、これにて高知県の区切り打ちも、無事に終了です。団体遍路よろしく、僕も早々に延光寺をあとにします。今回、僕はこの地である状態になりました。それは、”お遍路ハイ”です。海岸を走っているときに、「コレいつまでも続けられるわ!」と思ってしまいました。
おそらく気候的なものがそうさせたのだと考えてます。台風を除けば、9月のお遍路は僕の中ではハイシーズンと言っても過言ではありません。まだ8月と9月しか体験してませんが。
また、3か月後に愛媛編を始めるときには、お遍路ハイがリセットされているので、また1から気持ちを作っていかなければなりません。その作業は面倒ではありますが、その反面、3か月間楽しみに待つことができるのです。
このあとどこを目指すのかというと、8km離れた四国西濃運輸 中村営業所です。自転車の配送を頼まなければなりません。
お好み焼 くわばら
東京に戻らずお遍路を続けたいという気持ちです。徳島を打ち終えた前回もそんな気持ちでした。それはもちろん寂しいからというのもありますが、自転車を移動させるのがしんどいという理由もあります。
ちきん館 本店
今回の四国入りには、自転車も同乗させられるフェリーを使いました。ですが、次に延光寺に来るときは、今回のようにフェリーは使えません。なぜなら、東京発着便フェリーの四国の玄関口は徳島港のみ。今は真反対の場所におり、現実的ではありません。
四国西濃運輸 中村営業所
ですので、四国西濃運輸さんのお世話になることに。高知から東京までの配送ということで、1万円かかりました。値段が妥当なのかわかりませんが、これは大出費!(なお、他の配送業者には2万以上かかると言われました)
『歩き遍路は区切り打ちでもいいけど、自転車遍路は通し打ちでやり切るべし。』
自転車遍路を考えていて、長期日程組める人には、ぜひこの教訓を送りたいです。
そして自転車と別れたら、夜行バス乗り場を目指します。まずは最寄りの有岡駅から、土佐くろしお鉄道で中村駅へ。
土佐くろしお鉄道宿毛線 中村行車内
中村駅から特急南風で高知駅へ。
特急南風24号 岡山行車内
車内で車掌さんに有岡駅で買った切符を見せ、高知駅までの乗車券を発券してもらいました。合計4,380円。
土佐くろしお鉄道乗車券
約2時間で、3日前とほぼ同じ場所までやってきました。
高知駅南口
今夜の“宿”ブルーメッツ号は20:20に高知駅を出発します。(翌7:10に新宿到着予定)
それまでに、汗を流して服を着替えることにしました。さすがにこのままバスに乗るのは気が引ける。
ひとっ風呂
というわけで高知駅に隣接する『とさてらす』でお土産を物色したあと、駅からほど近い高知ぽかぽか温泉へ。そのあと夕食を済ませて駅に戻ったら、ちょうどいい時間になっていました。ブルーメッツ号は、「中見せねえぞ」と言わんばかりに最初からカーテンを閉じた状態で到着。
発車前のブルーメッツ号車内
ブルーメッツ号にはポイントカードがあるようです。有効期限は最終乗車日から1年とのこと。「次もこれに乗って高知に来るのだろうか…」そう思いを馳せながら、ポイントカードを胸ポケットにしまいました。
(このあとポイントカードは洗濯槽の藻屑となりました)
5:21 EXPASA足柄
お遍路中は十分な睡眠がとれていないこともあってか、車内での一夜はすこぶる快適に過ごせました。その間にも、ブルーメッツ号は東進。淡路SAでドライバー交代、刈谷PA、EXPASA足柄で休憩を挟みながら、朝7時前に新宿に到着しました。
朝の新宿に到着
あっ、忘れてました!今回、スニーカーで高知を400km以上チャリ走しました。
ペダルを漕ぐときに邪魔にならないよう、ゴツくないスニーカーを選びましたが、全く問題ありませんでした。正直な話、この靴で歩いた距離ってそう長くはありませんので、歩き遍路の人には参考にはなりませんね。