旅に出る人を見送ってきた | ジジイの氷割り

旅に出る人を見送ってきた

 2014/07/29

さて、みなさん夏休みは楽しんでいるだろうか。
今回は旅行者について考えてみた。

旅行に行くのは楽しい。
いやしかし旅行に行くのを見るのも悪いものではない。
リュックサックを背負って集合している団体を見るとうらやましくなってしまう。
あるいは、旅行用トランクを引いている人はみんなウキウキしてる様に見える。
おそらく、旅行者に漂う雰囲気が、見ているこっちをも浮かれさせてしまうのだろうと思う。

だから僕らも旅に出る。そして旅行者の雰囲気を放つ。

まぁ、みんなに当てはまるものとは思わないが、このサイクルを生み出す源『旅人のオーラ』の正体は何なのだろうか。知りたい。

とはいえ机の前で考えていても解決しないので、「今まさに都心を脱出しようとしている旅人に触れ合う」事で少しでもその実態に迫ってみたい。
うん、そう思う。

旅行者と触れ合うにあたり、その出没しそうな場所を調べてみた。すると、東京には旅客の輸送手段が意外にたくさんある事に驚いた。
なるほど、その発着場に行けば旅行者に会えるわけだな、そして彼らは都会の喧騒をこれらの乗り物で離れるつもりだな。
日が昇り夜の帳が下りるまで、とある架空の1日に再構築してみた。

10:00 竹芝桟橋

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おがさわら丸は、東京・竹芝桟橋と小笠原諸島の父島を結ぶ貨客船だ。
夏場のシーズンともなると、『東洋のガラパゴス』と呼ばれる楽園への旅行者のためにひたすらピストン輸送に徹する。
そうそう、これから取り上げる調査対象の条件として、

 

『旅客輸送』
『出発直前の高揚感』
『都心を離れる』

 

ということ、この3点に重きを置きたい。
まさに今おがさわら丸は、南の島という非日常へと旅立つ者たちを飲み込まんとしているではないか。

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待合所や送迎デッキには、今や遅しとはやる旅人の熱気が立ち込めている。
取り付く島もないくらい、皆の頭の中は楽園でいっぱいだ。
修学旅行で集合時に先生の話を聞いていないのと似ている。

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25時間半という時間をかけて行くのだから、退屈しないように船の中で何しようかとか考えるのも楽しいだろう。
滅多に来ないからってやりもしない位置情報ゲームに登録して結局放置しそう。
みんなでフォークソングとか合唱するのかな、想像は膨らむばかりだ。

浮かれ度 ☆☆☆☆☆

11:00 日本橋

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日本橋は五街道の起点だ。それは江戸開府の頃から決まっている。
東海道、甲州街道、中山道、日光街道、奥州街道はここから始まっているのだ。
ではなぜ日本橋が旅行者の集う場所なのかと、こう疑問を持つ人は少なくないだろう。
僕はこう信じたい。
いま目の前に、ここをスタート地点に決め街道走破(もしくは歩き旅)に挑戦する猛者たちが現れん事を!
ネット上ではそんな人々の記録を目にする事は容易いが、スタートのタイミングに出会う事は奇跡の様なものである。
それはわかっているが、彼らのオーラが僕を引き合わせてくれる奇跡に賭けたい。
そうと決まったら、うん、見張るしかない。

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これは日本国道路元標のレプリカで、諸街道の起点であることを示している。橋詰にある。

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本物は橋の中央に埋まっている。当時の首相・佐藤栄作の筆によるもの。

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そして立派な装飾品は人々の目を楽しませてくれるが・・・。
一向に旅人は現れない。

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橋や装飾を撮影する人は多い。盗撮の才能があるのか、気づいたらこんなに撮れちゃった。

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この見張り台(本当はおそらく憩いスペース)から猛者たちを探す事にしよう。
こうして往来を眺めながら江戸時代に思いを馳せていると、ぼんやりと橋の一部になったような気がしてくる。いや、単純に暑くてぼぅーっとしてくる。
しばらく監視していたが、暑さで汗が止まらないのでやむなく退避する。

12:00 羽田

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ジャンボジェット機は日本の高度経済成長期と共に飛行してきた。
どうやらジャンボジェットと呼ばれるのは、ボーイング747(B747)型機のみらしい。知らなかった。
現在(2012年8月)国内で運航しているのはB747-400Dというもので、就航路線は全日空の東京-札幌、福岡、那覇間を残すのみという。
時代と共に役割を終えようとしている。
なぜ「ジャンボ」に絞ったかというと、後述する別の「飛行機」と区別するために便宜上そうしただけである。

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ここは国内線ターミナル。札幌、福岡、那覇へジャンボで向かう乗客と触れ合ってみたいものだ。
せっかく来たのでジャンボ実物を見に行く。

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屋上から、B747-400D。頭がポコッと盛り上がってる。

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ポケモンジェットだ!あんまり詳しくないけど、見てて楽しい。

ふと外国人と目が合い話しかけられた。
折からの台風で那覇便は軒並み欠航、次はいつ出るのか知りたいようだ(たぶん)。
カウンターのスタッフに来てもらって解決したが、那覇行きということがわかりこれ幸いと話を切り出してみた。
スケッチブックを用意したので、これに行き先を書いてもらおうと試みる。ヨレヨレの英語で聞いた。
「Please write your destination on this board, and can I take a picture of you?(このボードに行き先書いてもらって、そして撮って良いですか?)」
「What for?(何のためだ?)」
「…It’s my hobby.(これが僕の趣味でして。)」
「…OK.(わかったよ)」
OK出た!趣味でもなんでもないけど口をついて出た。
旅人のオーラを調べてるとは伝えきれないし理解されないと判断した。

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「Do you mind if I post to my blog this photo.(この写真、ブログに載せてもいいですか?)」
「What for?(何のためなんだ?)」
「My hobby.(僕の趣味でして。)」
「…OK.(わーったよ)」

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全便欠航!
あまり詳しくは聞けなかったがおそらくジャンボジェットで行くはずだったのだろう。
アメリカから来て1日立ち往生になる分、より楽しんで帰ってほしい。

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帰り際、穴守橋で見たレリーフ。

浮かれ度 ☆☆☆

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